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銀行

銀行

銀行(ぎんこう、)とは、概ね、預金の受入れと資金の貸出し(融資)を併せて行う業者として、各国において「銀行」として規制に服する金融機関を指すが、その範囲は国によって大きく異なる。

為替取引を行うことができ、銀行券の発行を行うこともある。広義には、中央銀行、特殊銀行などの政策金融機関、預貯金取扱金融機関などの総称である。
日本の法令上、銀行とは、銀行法上の銀行(普通銀行)を意味し、外国銀行支店を含むときと含まないときがある。また、長期信用銀行は長期信用銀行法以外の法律の適用においては銀行とみなされる。日本銀行や特殊銀行、協同組織金融機関および株式会社商工組合中央金庫は含まない。普通銀行も長期信用銀行も、会社法に基づいて設立される株式会社形態である。
他方、米国においては、「銀行」(bank)には、国法銀行(national bank)と州法銀行(state bank)があり、それぞれ連邦および各州の銀行法に基づき設立される営利目的の法人(body corporate)である。連邦準備銀行、貯蓄貸付組合(saving and loan association)や信用組合(credit union)、産業融資会社(industrial loan company)などとは区別されるが、広義にはこれらを含む。
「金融仲介」「信用創造」「決済機能」の3つを総称して銀行の3大機能という。これらの機能は銀行の主要業務である「預金」「融資」「為替」および銀行の信用によって実現されている。3大機能において、「金融仲介」と「信用創造」は各銀行が常に単独で行える業務である。ただし「決済機能」は、複数銀行間の決済が手形交換所というラウンドテーブルで機能しており、かつてその処理が煩雑を極めたことから現代とみに合理化し、国際決済は寡占産業となった。
銀行の業務目的は、第一義的には、市場経済の根幹である通貨の発行である。ここにいう通貨は、中央銀行の発行する銀行券などの現金通貨に限らない。貨幣機能説によれば、通貨は通貨としての機能を果たすがゆえに通貨であり、交換手段であると同時に価値保蔵手段であり、価値尺度であるという機能をもつ。銀行の受け入れる預金は、まさにこうした通貨としての機能を果たすがゆえに経済社会において重要な預金通貨として流通している。
預金通貨は銀行の負債であるので、預金通貨の価値の安定のためには、銀行の資産が安定的な価値を有するものでなければならない。このため、金融庁をはじめとする銀行監督当局は、定期検査を通じて、銀行の資産は安全かという点をチェックする。また、銀行監督当局は風評被害が起きないよう監督している。
銀行業務を行うにあたっては、信用が重要な位置をしめる。そのため、経営が悪くなっても活動を続けることが出来る他の産業とは根本的に異なり、経営が悪くなれば信用がなくなり、取り付け騒ぎに発展して破綻したり、批判を受けながら政府の救済を受けたりする。それ自体は預金保険制度、健全性規制、ベイルイン(株主・債権者負担)といった諸制度により防がれる。
銀行業務の技術的側面は銀行のオンラインシステムで成り立っている現状がある。
アメリカ合衆国や中華人民共和国、日本では銀行と証券会社との兼業を認めない。このような政策を「銀証分離」という。アメリカでは1929年の世界恐慌をきっかけにグラス・スティーガル法が制定されてから銀行による証券業務が制限されている。同法制定の背景には、①銀行が証券業務も行っていたことが大恐慌の一因となった、②預金者の資金を運用している銀行による証券業務を制限することによって、預金者の保護を徹底する必要がある、③貸出業務と証券業務とは利益が相反する傾向がある、という見方があった。しかし第二次世界大戦後は銀行と証券会社が一体となったユニバーサル・バンクを主流とする欧州各国でブレトンウッズ協定に対する不満が鬱積していった。彼らはユーロカレンシーを利用した銀行間取引を活発化させ、機関投資家と共にユーロ債市場を拡充した。その結果、日米欧三極同時並行で銀証分離が緩められていった。
銀証分離は独占を禁止する目的もあるが、同様の観点から銀行業と商業の分離(銀商分離)を行う国もある。米国では投資銀行を除いて銀行業から商業への参入も商業から銀行業への参入もどちらも認められない(ノーウェイ規制)。欧米の企業統治は政策で機関投資家に委ねられている。日本では、商業から銀行業への参入は非金融事業会社による銀行子会社の保有という形で認められているが、銀行業から商業への参入(銀行やそのグループ企業による非金融事業)は持株会社としてのベンチャーキャピタルに限られる(ワンウェイ規制)。欧州では、自己資本に応じた投資制限の範囲内であれば、相互に参入が認められる(ツーウェイ規制)。ソシエテ・ジェネラルのような欧州銀行同盟の代表格やベルギー総合会社を例とする伝統である。
アメリカでは現在グラム・リーチ・ブライリー法によって役員兼任が許容されるなど、銀証分離は極度に緩和されている。この制度は、モーゲージによる信用創造をMBS販売で下支えするビジネスモデルを許したので、世界金融危機を招来した。
そこで2011年にグラス・スティーガル法の再導入法案が両院に提出された。翌年7月4日フィナンシャル・タイムズが分離を主張した。社説の背景は多様である。2012年5月10日に発表されたJPモルガンの20億ドルにのぼる損失、バークレイズのLIBOR金利操作、米上院調査会が2012年7月16日に報告したHSBC・ワコビア・シティバンク・リッグス銀行の資金洗浄、そしてロスチャイルドのリストラ方針が銀証分離と考えられていること。法案の採決はウォールストリートの投資家に阻まれている。
2018年3月29日、公正取引委員会は、ドイツ銀行とメリルリンチが米ドル建て国際機関債の売買について受注調整したと認定、その行為が不当な取引制限にあたると発表した。国際機関債はユーロ債が普通である。銀証分離緩和を主導し、また利用してきた、ユーロ市場の独占資本に綻びが見えてきた。公取委が復権するかどうかも注目される。
日本においては1948年、アメリカ対日協議会が発足して財閥解体の調整に乗り出し、また旧証券取引法が制定された。同法65条において銀行(預貯金取扱金融機関)が金融商品取引行為を業として行うことは、投資目的や信託契約に基づく場合などを除いて禁止されていた。禁止規定は公共債に適用されないが、公共債を対象として銀行の営みうる業務範囲は旧銀行法で明文規定がなかった。それで公社債をメガバンクが窓口となって外債として発行した。これがユーロダラーとの接点となる。外債だけでは公社債の資金需要をまかないきれないので、昭和30年代は投資信託に保有させる作戦がとられた。1955年、大蔵省は証券19社に対して次のような資金調達を認めた。顧客に売った金融債を引き渡さずに有償で借用し(運用預かり)、これを担保として銀行などから資金を借り入れる行為である。インターバンク短期金融市場からの借り入れは利子のかさむ原因となった。この行為は1998年7月現在禁止されている。強引な大衆貯蓄の動員は証券不況を引き起こした。日本共同証券の設立過程で、銀行は証券業界へ人材を進出させるなどして事実的に支配した。旧財閥系の銀行がオーバーローンで生保と事業法人を系列化した(法人資本主義)。
日銀が特融に奔走していたころ、ニューヨーク州は陥落間近であった。1960年代初め、ニューヨーク州議会は公社債発行の根拠となる精神規定を採択した。州の住宅金融機関などは公共インフラのために公社債を発行しまくった。州の負債は十年で三倍となり、総額150億ドル以上となった。州の長期負債の2/3以上が州の全信用によっては保証されない人道債(Moral Obligation Bond)であり、その残高は全米で発行された無保証債券残高の1/4を占めた。
株式の持ち合いが日本証券市場の拡大を妨げたので、グローバルな成長をとげた機関投資家が政治的圧力をかけてきた(日米円・ドル委員会)。1985年、住友銀行が買収したゴッタルト銀行(Gotthard-Bank)が、イトマン発行外債の主幹事をやるということで銀証分離は形骸化しだした。日英金融協議がそれに追い討ちをかけた。1990年12月には、銀行と信託、保険の相互参入を認める法案が可決された。そして1993年4月の金融制度改革関連法施行に伴い、銀行・信託・証券の相互参入が認められたことから実質的に銀証分離が撤廃された。さらに金融ビッグバンにより銀行等の投資信託の窓口販売の導入(1998年12月から解禁)が導入されるなどして、現在は登録金融機関ならば一定の証券業務を営めるようになっている。
英語のバンク(bank)という語はイタリア語の”banco”(机、ベンチ)に由来する。これはフィレンツェの銀行家たちによってルネサンスの時代に使われた言葉で、彼らは緑色の布で覆われた机の上で取引を行うのを常としていた。明治時代にバンク(bank)を銀行と訳したのは、中国語に依拠している。香港上海銀行(豐銀行、1865年設立)などが創業当初から中国語名に銀行を使用している。行は漢語で店を意味し、また金ではなく銀であるのは当時東アジアでは銀が共通の価値として通用していたためである(銀貨を参照)。日本では「金行」とする案もあり、一説によれば語呂が良いから銀行とされたという。
金融機能の起源としては両替商が古くからあり、フェニキア人による両替商が知られていた。古くはハムラビ法典には商人の貸借についての規定が詳細に記述されており、また哲学者タレスのオリーブ搾油機の逸話などで知られるように、古代から高度な金融取引・契約はいくつも存在していたと考えられるが、一方で貨幣の取り扱いや貸借には宗教上の禁忌が存在している社会があり、例えばユダヤ教の神殿では神殿貨幣が使用され、信者は礼拝のさいにローマ皇帝の刻印がされた貨幣を神殿貨幣に両替し献納しなければならなかった。ユダヤ・キリスト・イスラム教では原則として利息を取る貸付は禁止されていたので、融資や貸借は原則として無利子(売掛・買掛)であった。これらの社会においては交易上の利益は認められていたので実質上の利子は中間マージンに含まれていた。両替商が貨幣の両替において金額の数%で得る利益は手数料であった。
貸付・投資機能が高度に発達したのは中世イタリア、ヴェネツィア、ジェノヴァ、フィレンツェにおいてである。遠隔地交易が発達し、信用による売掛・買掛売買が発達し、有力商人が小口商人や船乗りの決済を代行することから荷為替あるいは小口融資が行われるようになった。中世イタリアのジェノバ共和国の議会は、国債の元利支払のための税収を、投資家の組成するシンジケート(Compera)に預けた。1164年には11人の投資家によって11年を期間としたシンジケートが設定されていた。このシンジケートを母体に設立されたサン・ジョルジョ銀行はヨーロッパ最古の銀行とされている。ヴェネツィア共和国の議会は1262年、既存の債務を一つの基金に整理し、債務支払いのために特定の物品税を担保に年5%の金利を支払う事を約束したが、これは出資証券の形態を取り登記簿の所有名義を書き換える事で出資証券の売買が可能なものであった。中世イタリアの都市国家ではそれぞれの都市の基金、すなわち本来の意味でのファンドが、債務支払の担保にあてられた税を管理した。
13世紀頃の北イタリアではキリスト教徒が消費者金融から一斉に撤退し始めるがその理由ははっきりしない。15世紀にはユダヤ教のユダヤ人金融が隆盛を極めた。しかし15世紀後半には次第に衰退した。ユダヤ人が貧民に高利貸付をして苦しめているとフランチェスコ会の修道士が説教したので、都市国家ペルージャは最初の公益質屋( monte di piet)を作り低利で貸付を始めた。それまで徴利禁止論を標榜していたキリスト教会は、第5ラテラン公会議で言い逃れをした。すなわちモンテの利子は正当であり、禁じられた徴利にあたらないとしたのである。
北イタリアからバルト海にかけ、商人の経済活動が高度化してゆくなかで次第に金融に特化する商人が登場しはじめる。商業銀行と商社は業態的につながりが深いといわれている。シティ・オブ・ロンドンにはマーチャント・バンクの伝統があり、これは交易商人たちが次第に金融に特化していったものである。日本の総合商社はマーチャントバンクに大変類似しているとも言われる。現在のような形態の銀行が誕生したのは、中世末期のイギリスにおいてである。
日本でも江戸時代には両替商があり、また大商人による大名貸しなど融資業や決済代行業務を請け負った。初の商業銀行は、明治維新後に誕生した第一国立銀行(第一勧業銀行を経て、現在のみずほ銀行)となっている。

消費者金融

消費者金融

消費者金融(しょうひしゃきんゆう、)とは、消費者信用のうち、個人への金銭の貸付け(小口融資)のこと。

また、貸金業業者、特に一般の個人に対する無担保での融資事業を中心とする貸金業の業態を指すことがある。
以下では特に断り書きがない限り、日本での事例について述べる。(相談については、#サラ金・多重債務 相談窓口 を参照のこと。)
金融機関による個人への融資は、1929年(昭和4年)の日本昼夜銀行(安田銀行が吸収)等による小口融資が始まりと言える。だが、この流れは太平洋戦争による経済・社会の戦時統制経済体制への移行により、途切れることとなる。
日本昼夜銀行の条件は、
1930年(昭和5年)7月から、三井銀行でも三井系の会社銀行員に限って、
等の条件で行なった。
太平洋戦争後は、資金は復興を急務とする産業へ回され、個人への直接融資は戦後10余年を経るまで行われなかった。1950年代も半ばを過ぎると、信用金庫等の中小金融機関が消費者への融資に動き出した。そして1960年(昭和35年)には金融自由化への危機感から、都市銀行も消費者金融へと参入、ある種のブームとなった。この当時の銀行等による消費者金融は、融資対象者の制限(個人の信用調査体制が確立していなかったため)、担保や保証の確保、融資資金の使用先制限(目的ローン)が大部分であった。そんな中で、日本信販の「チェーン・クレジット」(1956年(昭和31年)開始。当初は日本信販会員のみであったが、のちに会員外にも提供)や、三洋商事(現・SMBCコンシューマーファイナンス)、関西金融(現:SMBCコンシューマーファイナンス)などによるサラリーマンへの小口融資(いわゆるサラリーマン金融・サラ金)が登場する。
1967年(昭和42年)には日本ダイナースクラブがクレジットカードによるキャッシングサービスを開始、1972年(昭和47年)には銀行がカードローン(「庶民ローン」、「市民ローン」と呼ぶ場合もある)を開始、また1977年(昭和52年)にはアメリカ大手消費者金融企業、その後も外資系企業が日本市場へと参入した。こうした中で、消費者の意識の変化などもあり消費者金融市場は大きく成長した。
だが、この頃から強引な貸付や取り立て、借金苦による自殺などが社会問題化し、貸金業規制法の制定へ向かう流れが作られることになる。#社会問題化も参照。
利息制限法及び出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)に基づく範囲内の金利で貸し付けるものと、これ以上の金利で貸し付けるもの(いわゆる闇金融)がある。ただし、貸金元本が10万円未満は年利20%、10万円以上100万円未満なら年利18%、100万円以上なら年利15%を上限とする利息制限法は、罰則はないものの強行規定(強行法規)である。強行規定は、公序良俗を具体化したものであり、公の秩序を維持することを目的とすることから、罰則の有無にかかわらずこれを遵守しなければならないとされる。契約について強行規定に反する部分は無効となる。
“詳細は、#金利について を参照のこと。”
貸金業者は、貸金業法(第3条)に基づいて、二以上の都道府県の区域内に営業所又は事務所を設置する場合は内閣総理大臣(財務局)の、一の都道府県の区域内の場合は都道府県知事の登録を受けなければならない。無登録で営業している闇金融は貸付けそのものが違法行為として処罰の対象となる。しかし、近年は、合法的な正規の事業所としての実態がないのに都道府県登録を申請することがある。特に東京都に登録しているものもあり、このようなものは「十日で一割」ならぬ「東京都知事(1)第XXXXX号」(=貸金業登録番号)からトイチ業者と呼ばれている。このような業者は、登録後、スポーツ紙などで広告することがある。
1970年代頃は、サラリーマンを対象にした業者が多いとして「サラ金」(サラきん、「サラリーマン金融」の略語)、あるいは市街地(街中)に営業所があることから「街金」(まちきん)と呼ばれていた。しかし、1980年代頃からは、女性(OLや主婦)や自営業者などの契約も多いとして、「消費者金融」の名称がよく使用されるようになった。その背景には、過剰な融資や高金利、過酷な取り立てにより、「サラ金地獄」という言葉がたびたび使われるようになって、「サラ金」のイメージが著しく悪くなったことから、業界が新たな名称として「消費者金融」の使用を推し進めたことがある。なお、「サラ金」の呼称以前に1960年代頃は「団地金融」や「勤人信用貸」(つとめびとしんようがし)という呼び方もあった。
また、高い金利を特徴とすることから「高利貸し」とも呼ばれる。英語圏国家では高利貸し、闇の金融業者は「」(借金の鮫、サメ金)と呼ばれる。ローンシャークの取り立てには、しばしば脅迫・暴力が伴う。2010年以降は、主に利息制限法を遵守する消費者金融と対比し、違法な金利で貸付を行う闇金業者等を指して「高利貸し」と呼ばれることが通常となっている。
消費者金融は「サラ金」と呼ばれることも多いが、社団法人神奈川県貸金業協会は、2005年(平成17年)10月4日に、当時の会長・吉野英樹が『サラ金』と呼ばないことを求める会長声明を出している。なお、日本の法令用語に、サラ金や消費者金融などの語は存在しない。
1970年代後半から1980年代初頭に掛けての、いわゆるサラ金問題、そして1990年代初頭の、バブル経済崩壊以降の消費者金融問題が挙げられる。バブル崩壊後に消費者金融が成長した背景には、バブル崩壊によって経済的に苦しい消費者家庭が増加したこと、自動契約機の導入(1993年(平成5年)以降)、それまで深夜帯に限られていたテレビコマーシャルがゴールデンタイムなど、それ以外の時間帯でも解禁(1995年(平成7年))されたことなどがあった。これらの追い風を受けて、消費者金融は業界を挙げて、それまでの暗い「サラ金」「街金」のイメージの払拭に努めた。その結果、駅前の雑居ビルの狭い店鋪で担当者と向き合って融資を申し込むといった旧来の形だけではなく、郊外の国道沿いに設置された自動契約機へ契約申込をする利用者も増加した。また、「女性専用ダイヤル」と称して、女性スタッフとの電話で振り込むという、実際にはかたわらに男性がいても「女性対女性」をうたい、女性が心理的に借り入れしやすい環境を作る会社も増加した。この勢いで、大手業者には株式を公開(上場)する会社も現れた。株式公開(上場)することによって、経営者一族が莫大な富を得た例も知られている。
そのような中で2000年(平成12年)前後からは全情連(全国信用情報センター連合会)加盟の情報センター、CIC、全国銀行個人情報センターの個人信用情報機関によるブラックリスト(「ネガティブ」又は「ネガ」とも)情報の交流「、クリン)」が開始され、与信の厳格化が図られた。これによって大手6社などでは契約者の属性が向上し経営自体は健全化していったが、スケールメリットのある大手業者とこぢんまりと経営可能な小規模業者の間に挟まれた中堅クラスの業者の中には、急激に業績が悪化して倒産、大手業者による買収、または債権譲渡するものも現れた(会社更生法が適用され更生計画が認可されると、更生計画に入っているものを除いた会社更生手続開始以前の債権は効力を失うため、過払金返還請求に大きな影響がある)。本来、信用情報の目的は貸金業者自身の経営の健全性ではなく、過剰貸付を防止し、もって多重債務者の発生を減少させることにある。この点につき、その目的とは裏腹に信用情報が一部の業者で勧誘の材料として用いられているとの指摘がある。個人信用情報を利用して、借り入れ残高があるが業者の定めた限度額に達していない顧客を探し出し、拒否されても借り入れを勧めていたことが発覚している。このような行為は信用情報の目的外使用であり信用情報交換契約(信用情報機関とその会員たる貸金業者間で交わされている契約)違反である。したがってこの指摘は目的外使用に民事上の責任追及しかなされないことの問題を指摘したものということができる。また、個人情報保護法が適用される信用情報に関しては同法違反となる可能性もある。
なお、この頃「ヤミ金」被害が急増しており、その原因を上記のような信用情報機関の情報交流による与信の厳格化と中堅業者の淘汰に求める見解もある。他方、消費者金融業界は、原因は2000年(平成12年)の出資法改正による上限金利の40.004%から29.2%への引き下げによる中小零細業者の撤退・倒産にあるとしており、業者の淘汰の原因を信用情報の交流に求めるか法改正に求めるかの点において上記の見解と異なる。また、この2つの見解と異なった視点から、この時期のヤミ金被害急増の原因は不況の長期化による所得の減少、デフレによる金融債務の実質負担の増加、暴対法施行及び不況による暴力団員のサイドビジネスへの進出、携帯電話の普及などにあるとする見解もある。2003年(平成15年)にヤミ金対策を主目的に貸金業規制法が改正されたと同時に、出資法の上限金利の引き下げが論じられたが実現しなかった。
近年、大手の消費者金融会社は、銀行と提携しローン(個人向けの銀行ローン)保証業務に乗り出したり、また、メガバンク(持株会社を含む)の資本参加を受けるなどの動きもある一方、前近代的なオーナー経営の業者も多く、取立てにかかわる数々の問題、高金利、押し貸し(貸し込み競争)、「武富士」創業者の元会長が関与したジャーナリスト宅盗聴事件などの社会問題が依然として解決されていないと言える。「借りた人間が悪い」とする意見もあるが、「大手消費者金融業者の営利広告の影響等により高金利の借入に対する抵抗が減少した」などの指摘や、(連帯)保証人以外の家族等法律上弁済の義務を負わない人間が返済にかかわっている例が多くあるなど「借りた人間が悪い」という決め付けだけでは済まない問題も発生している。
分母である自殺者全体の増加もあるが、利用者の自殺の増加が指摘されており、返済を続けても、完済が困難である状態は「サラ金地獄」とも呼ばれる。自殺者全体については、自殺率(人口10万人あたり、厚生労働省人口動態統計)は1997年(平成9年)から1998年(平成10年)にかけて18.8人から25.4人へと急増しており、自殺者数(警察庁「自殺の概要資料」)は1997年(平成9年)の24391人から1998年(平成10年)には32863人へと急増した。警察庁の統計によると、2006年(平成18年)の自殺者数32155人について多重債務などの経済苦が原因とみられる自殺者は約8000人とされている。また、2005年(平成17年)における大手5社利用者の自殺は判明しているだけで3649件であった。20歳以上の死亡者に占める自殺者の割合は2.8%(人口動態調査05年、厚生労働省)であるのに対して、金融庁などによると、大手5社利用者の死因判明分に占める自殺率は25.5%であった。
2006年(平成18年)8月には、消費者金融の大手5社を含む10社がリスクを最小限に抑えるために、借り手が死亡・重度障害で返済不能になった場合に備えて借り手を生命保険(消費者信用団体生命保険)に加入させ、保険金として債務残高分を消費者金融を受取人にしていることが明るみに出た。本人が契約自体を知らない場合もあり、保険金は遺族を素通りして消費者金融に支払われる。2005年(平成17年)に大手5社が支払いを受けた件数は延べ3万9880件であり、自殺によるものは判明しているだけで3649件にであった。メリットとして遺族が債務を負わない点があるが、死亡した債務者が過払い(不当利得の返還を遺族が消費者金融に求められる状態)であっても保険金は消費者金融に債務残高分として全額支払われ、過払いの事実は遺族には一切伝えられない。この保険が存在せず、相続放棄・限定承認をしない場合、遺族が死亡した債務者の債務を任意整理(利息制限法の金利で計算し直した残債務を利息無しで一括・分割返済(3 – 5年))するには、相続人が弁護士・認定司法書士等に委任する。
一般に、消費者金融は利息制限法を超える金利での貸付の場合、みなし弁済の無効を主張されると、訴訟では全額を回収することができないため、訴訟の前に訴訟以外の手段を用いて回収を急ぐことがある。全額の回収を容易、確実にするために、連帯保証人付きのローン・不動産担保ローンでの借り換え、公正証書の作成等の手段を用いる場合もある。過払いが生じている法律上支払義務のない債務者に対して、強引な取立てを行うことも常態である。過払いが生じている場合は訴訟による回収が困難であるが、被告が裁判を欠席、答弁書を提出しない場合、また訴訟以外では支払督促に対して督促異議の申立てをせず放置した場合等、例外がある。
厳しい取り立ては違法な手段(脅迫罪・強要罪・住居侵入罪・不退去罪・業務妨害罪・恐喝罪・ストーカー規制法等の刑法上の犯罪が成立することもある)を伴うことも多く、当事者・関係者に多大な苦痛を与える点で問題があるが、専門家(弁護士・認定司法書士等)の介入があった場合は、貸金業の規制等に関する法律第21条6項の規定により、貸金業者が債務者に接触する事は出来なくなる。
なお、最近では店舗や無人契約機での申し込みは減少し、インターネット経由で申し込みをして、審査を一通り終わらせ、最寄の無人契約機や本人限定受取郵便で、キャッシングカードを受け取りに行くというケースが増加している。
また、最近さかんに宣伝されているおまとめローンには次のような問題がある。
上記の問題を考慮して、過払金が返還される可能性について注意を喚起するただし書きをCM、広告などに付している場合がある。
1990年代後半より(北海道の10万人単位規模の地方都市では既に1980年代初頭から)、特に地方都市の繁華街中心部や駅前などの一等地に出店する消費者金融業者が増え、どの街に行っても大手業者の巨大な看板が占拠する事態が発生し続けている。これらによって、それぞれの街の持つ独自の景観が破壊され、画一的で没個性的な街並みがつくられる原因のひとつとなっているという批判がある。いわゆるサラ金ビルも参照されたい。
かつて消費者金融において一般的であった金利(29.2%及び29.28%)について説明する。これは、かつて出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の上限金利であり、これを超えた貸付けを行うと刑事罰の対象となったものである(詳細は「闇金融」の項目を参照のこと)。
例えば、100万円を出資法上限金利である29.2%の利息で借入し一年間全く返済をしなかった場合、約29万円の利息が生じる(出資法において定める延滞利息ないし賠償額の上限は通常利率と同率)。
消費者金融の金利は出資法の上限金利を超えることはないが、一般に利息制限法の基準(10万円未満20%、100万円未満18%、それ以上は15%)を超えていた。利息制限法は強行法規であり、利息制限法を超える約定利息は民事的には無効である。従って本来は利息制限法を越える部分の金利は払う必要はなく(利息制限法の上限利率を超過する利息契約は無効)、もし支払ったのであればそれは元金の返済に充当され、過払いが生じていれば弁護士・認定司法書士等(または本人)による交渉、訴訟によって返還させることができる(不当利得の返還、いわゆる過払い請求。)。ただし、完済後、10年以上経過している場合は時効(消滅時効)を主張される可能性が高い。相手が貸金業者で訴訟等をせずに放置されているなら、借り手の債務の消滅時効は最後の取引があった時から5年、過払い請求などの債権の消滅時効は最後の取引があった時から10年である(2009年(平成21年)1月22日、最高裁第一小法廷(泉徳治裁判長)は、時効は過払い金が発生した時点ではなく、取引の終了時から始まるとする判断を示し、最終的な取引(借り入れや返済)から10年以内であれば、過払い金全額の返還を求められるとした。)。完済後も過払い請求は可能だが、債権の消滅時効が障害になることがある。
かつては、法定の契約書類・受取証書が整備され、契約者が納得の上で自主的に払っている「任意の弁済」である場合は金利の支払として有効となり、消費者は返還を求めることができないとされていた。これをみなし弁済(貸金業法43条)という。しかし実際には、判例により上記要件の一つとしての受領書(18条書面)の発行が銀行振込での返済時にも要求されるなど、貸金業法43条はみなし弁済が認められることはほとんどないと言ってよいほど厳格に解されており、また、最高裁における一連の判決によって、みなし弁済が成立する可能性はほとんど無くなった。
弁護士・認定司法書士等が、依頼者の債務整理、具体的には「裁判所を通じた自己破産・個人民事再生・調停」や「任意整理」(弁護士・認定司法書士等が受任し、利息制限法の金利で計算し直した残債務を一括・分割返済(3 – 5年)する債務整理方法、将来利息は原則として付かない)等を受任した際には、これを正確に利息制限法の金利で計算し直して残債務を減額させ、過払いがあれば返させる(利息の引き直しという)。
仮に約定利息29.2%で、約定利息分のみを返済し続けた場合、新たな貸付がないなら6年未満で債務は0となる。実際には、約定利息分を超える返済と新たな貸付が混在していることが通常であり、正確な取引履歴に基づいた正確な引き直し計算が必要である。貸金業者が取引履歴の開示を渋る場合もあり、過払い金を回収するための訴訟が必要となることもある(取引履歴は弁護士・認定司法書士等が代理人となって貸金業者に開示を求めることが多い。開示を求めることは本人でも可能であり、信用情報機関に登録されることはないが、業者にマークされる可能性はある。業者による取引履歴の改竄も発覚しており、注意が必要である。個人と弁護士では送付される取引履歴の書式が異なることもある。)。
過払い金=不当利得は「法律上の原因なく」受けた利益である。不当利得であると知りながら利益を得ていた貸金業者は「悪意の受益者」であり、受けた利益に法定利息(年利率5 – 6%)をつけて返還する必要がある。しかし、貸金業者は、過払い金があるということを知りながら、これを自発的に返そうとはしない。そのうえ、みなし弁済の要件を満たさないがゆえに不当利得になることを知りながら返済金を受け取り、取立てを続けている。過払い金の返還を求められる状態(不当利得返還請求が可能な状態、すなわち引き直し計算の結果、貸付残高がマイナスになっている状態)であるのに借り手が気づいていないことも多い。
この問題について、貸金業者側からは「みなし弁済の要件が厳しすぎる」との意見があるが、他方、識者からは「みなし弁済は、利息制限法に違反する無効な弁済を「例外的に有効な弁済とみなす」として特典を与えるものであるから、厳しい基準をクリアしなければならないのは当然」「刑事罰の不存在に乗じて、貸金業者が利息制限法を守らない貸付けをするのが悪い」という指摘も多い。29.2%という出資法上限金利(かつ、みなし弁済が認められれば収受可能な金利)は、英米を除く先進国に比べて高すぎる、との指摘もある。また、利息制限法の上限金利を超えるが、出資法の上限金利を超えない金利をグレーゾーン金利という。現在、この議論はみなし弁済規定が貸金業法完全施行時に廃止されることで一応の決着を見ている。
最高裁第二小法廷判決 平成16年(受)第1518号 貸金請求事件(2006年(平成18年)01月13日) において、利息制限法以上の金利の支払いについて、「期限の利益喪失条項」などで事実上の強制がなされた場合、みなし弁済の要件を満たしていないとされた(シティズ判決)。続いて1月19日に最高裁第一小法廷、1月24日に最高裁第三小法廷において同様の判決があり、3つの小法廷で判断が一致した。これら一連の判決によってみなし弁済の成立する余地はほぼなくなり、これを受けて、金融庁は、貸金業規制法の施行規則を改正し、契約書・領収書に「期限の利益喪失条項」は利息制限法の利率を超えない範囲においてのみ効力を有すると記されることになった。この改正が、みなし弁済をめぐる法廷での争いに影響を及ぼす可能性が指摘されている。
2007年(平成19年)7月、大阪高裁は「灰色金利による請求は違法な架空請求に類似する」と判断しており、札幌高裁も同様の判断を4月に出している。
2010年(平成22年)6月18日より改正貸金業法が完全施行され、同時にみなし弁済制度は廃止された。
銀行や信販会社のローンカードによるキャッシングサービスも、上記と同じ状況であるが、このうち信販会社などのショッピングクレジット(個品割賦)の長期回数支払で利息制限法を超える手数料率(金利)であっても、貸金業法・利息制限法などの規制は一切受けないため(割賦販売法が適用されるため)注意したい。クレジットカード (日本)の場合、債務整理の際にキャッシングについて過払いがあれば、ショッピングクレジットの債務と相殺される。
また少数であるが、深夜帯に現金が必要な者が自らの銀行口座から預金を引き出す場合ATM手数料が100~200円(消費税抜き)かかるが、かつては消費者ローンの貸付を受ける場合ATM手数料を貸金業者が負担していたため、金曜の夜に借入して月曜の朝に返済すれば「銀行ATM手数料≧借入利息」となることに着目し活用する利用者がいた。
2006年(平成18年)12月13日の第165回臨時国会において、「貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律」が成立し、12月20日に公布、段階的に施行されている。2010年(平成22年)の6月18日に全条文が施行された。また、この改正の最終期限をもって出資法の上限金利は年率20%となり、みなし弁済規定は廃止された。しかし、施行期間の最終期限までグレーゾーン金利が残ることについては批判がある。また、施行から2年半以内に出資法及び利息制限法に基づく金利規制のあり方について所要の見直しを行う「見直し規定」が定められている。みなし弁済規定の廃止、新規参入や融資額などの規制強化、罰則などの強化が行われる等、詳しい改正の内容については貸金業法参照のこと。
2007年(平成19年)には早くも影響が現れており、優良顧客を確保するために大手消費者金融・大手商工ローンは、新規の顧客について銀行系消費者金融と同じ水準まで上限金利を引き下げ、審査を厳しくして融資先の絞込みを行った。また、多くの業者で貸し付けできる年齢の上限が70歳未満となり、既存顧客でも70歳に達していると新規の借り入れができなくなった。
「通常、貸出残高と回収実績の両方について厳しいノルマが課せられ、達成できないと支店(通常支店長一人と部下二、三人)で連帯責任を取らされる場合も多い。」と言われる消費者金融の業態にも変化が現れている。
大手業者については、上限金利引き下げに伴う審査の厳格化(適正化)による成約率の70%台から30%台への低下や、「ネオヤミ金」といわれる、以前の上限金利である40%程度で融資するヤミ金業者の出現、過払い請求への対応及び銀行等が融資を引き締めたことによる中堅以下の業者の倒産・廃業(クレディア、アエルの民事再生法申請など)などが発生している。このような場合、過払い金債権者(借り手)が過払いだということを知らないなどの理由で期日までに届け出できない場合、過払い金の請求が難しくなることがある。
クレディアは2008年(平成20年)5月22日に民事再生計画案を提出し、債権届出された過払い利息返還請求権については (1) 40%の弁済率で一括弁済する。(2) 30万円までの少額債権は全額弁済する。また、債権届出ができなかった債権者も届出がなかったことによって失権することはなく、利息返還請求権が再生債権として確定すれば同様に弁済することを発表した。
大手系列の中小業者にも閉店・営業停止が続いている。また、廃業した業者から債権譲渡を受けた業者が一括回収に乗り出す例も報道されている。このような場合、債権譲渡、営業譲渡は過払い金の請求に対して影響がありうる。滞納された地方税に充当するため、地方自治体が住民の過払い金の返還を受ける権利を差し押さえるケースがある(消費者金融が返還に応じず、訴訟になることもある。)
法改正による上限金利の引き下げについては、賛成派と反対派の対立が存在した。両派には激しい意見の対立があり、反対派は全国貸金業政治連盟(全政連)などを通じて政治献金、パーティー券購入などによる政界への働きかけをおこなった。また外資系消費者金融などの意を受けた米国政府も規制緩和要望書で、グレーゾーン金利を上限とする規制改革について触れている。
引き下げ反対派の主張の例としては以下のようなものがある。
引き下げ賛成派の主張の例としては以下のようなものがある。
参考 ヤミ金融対策について、日弁連は次のような提案をしている。
2007年(平成19年)6月12日、帝国データバンクが発表したパチンコ業者の動向調査は、パチンコ業者の5月の倒産件数は集計を開始した2005年(平成17年)以降、実質的に最多の11件(負債総額147億円)に達したことについて、規制強化に対応して賭博性の高い機器を交換する費用負担と消費者金融業者が貸金業規制法改正による上限金利引き下げを前倒しして、新規の融資を絞った影響から消費者金融からの借金が元手の顧客が減少したことが原因としている。
中小・零細企業倒産の要因の一つとして、2010年(平成22年)の貸金業法完全施行に先んじてノンバンク(事業者ローン、消費者金融)の一部が金利を利息制限法に違反しないように改正し(新規顧客向けローンの金利を20%以下に設定する動きがある)、それにともない審査の厳正化(適正化)が図られ、倒産のリスク、貸し倒れリスクの高い企業・個人に高金利で融資することが減少したことがあるとする意見がある。貸金業法改正は多重債務者救済を目的としているが、その一方で「官製不況」の原因の一つとする意見もあり、反論もある。渡辺喜美金融・行政改革担当相(当時)はそれに対して反論している。また、引き下げ反対派は引き続き、法改正の見直しを視野に入れて同様の主張を続けている。また、金融業者の経営状態の悪化、廃業、倒産(会社更生法適用、民事再生等)、営業譲渡などは過払い金(不当利得)の返還に影響を及ぼしている。
2008年(平成20年)4月の時点で企業倒産が増加傾向にある。金融業者の企業倒産も増加傾向にあるが、他業種の企業倒産も増加傾向にある。帝国データバンクは2007年(平成19年)度の全国企業倒産集計で原料高関連の倒産が増加し、法改正(改正建築基準法)の影響を受け、建設、小売、サービスなど内需関連の幅広い業種で倒産が増加したとしている。消費者金融の倒産について改正貸金業法の影響と、金融機関からの引き締めを指摘している。倒産が増加した大きな要因は、中小・零細企業の収益環境の悪化にあるとして①原料高②資材高③改正建築基準法施行に伴う関連業界の混乱④資金調達環境をあげ、サブプライム問題で多額の損失を被った金融機関に融資の選別を強める動きがあるとする。ノンバンク(事業者ローン、消費者金融)の審査の厳正化(適正化)を中小・零細企業の倒産増加の要因にあげていない。また、2004年(平成16年) – 2008年(平成20年)まで、最高裁集計による自己破産申請数は一貫して減少しており、2006年(平成18年) – 2007年(平成19年)に自己破産申請数の減少率は微増している。2008年(平成20年)の個人及び法人の自己破産は合計約14万件であり、2007年(平成19年)より約17000件減少している。個人は約12万9000件で5年連続の減少、法人は約1万1000件で3年連続の増加となった。また、民事再生(個人向け)の申し立ては2007年(平成19年)に約2万7000件、2008年(平成20年)に約2万4000件であり減少している。
金融庁は、消費者金融5件以上から借り入れをしている人が2008年(平成20年)3月末の時点で、約117万7000人となり、前年同期の約171万1000人に比して三割以上減少したとしている。2008年(平成20年)5月、三社以上から借りている人は378万人いる。また、自治体が多重債務者対策に取り組んでいる例もある。
融資先の絞込みと中小業者の倒産・廃業によって融資は縮小傾向にあるが、消費者金融大手4社の2008年(平成20年)3月期連結決算は引当金積み増しで赤字となった前期に比して各社とも黒字に転換している。大手4社の2009年(平成21年)3月期連結決算では、最終(当期)損益は武富士、プロミスは2年ぶりの赤字となった。アイフル、アコムは黒字ながら大幅減益となった。
2009年(平成21年)11月、政府が貸金業の規制を緩和する方向で検討しており、総量規制の妥当性、ルールの変更の影響を小さくする「激変緩和措置」の導入等について議論することが報じられた。
2009年(平成21年)11月12日、日弁連は、資金繰り悪化の原因は改正貸金業法施行の影響等のノンバンクの融資態度・動向では1.5%であり(中小企業の資金繰りに関する商工会議所会員へのアンケート(金融庁実施))、改正貸金業法を見直す前提事実は存在せず、「想定していなかった経済情勢」を理由として規制を緩和すると多重債務問題が再燃しかねないとして、改正貸金業法の完全施行を求める会長声明を発表した。2010年(平成22年)4月20日、政府は改正貸金業法の完全施行(借入総額を年収の3分の1に制限する総量規制を含む)を2010年(平成22年)6月18日に実施することを閣議決定した。
2010年(平成22年)6月18日、改正貸金業法が完全施行され、同時に出資法の上限金利は29.2%から20%に引き下げられ、みなし弁済制度は廃止された。改正貸金業法の完全施行に伴い、過剰な貸付を防止するために「個人向け貸付け」の借入総額が、原則として年収等の3分の1までに制限される「総量規制」が実施された。(ただし、個人が事業用資金として借入れる場合は原則として総量規制の対象外とされるなど例外もある。総量規制に違反した貸付けをおこなった貸金業者は行政処分の対象となる。借り手は年収の3分の1を超える借入れがあっても、貸金業者から新規の借入れが不可能になるだけで、すぐに年収の3分の1の額までの返済を求められるわけではない。なお、銀行による貸付けは貸金業法による総量規制の対象外である。)
日本貸金業協会が2010年(平成22年)1月25日に発表したアンケート調査によると、貸金業者からの借入がある企業経営者、個人事業主の約8 割が、2006年(平成18年)と比較して経営環境が「厳しくなった」と回答しており、直近一年間で借入を貸金業者に申込んだ企業経営者、個人事業主のうち、「最終的に希望どおりの金額で借入できた」と回答した割合は40%(昨年度の調査結果と比較して12ポイント減少)となっている。
貸金業法改正が多重債務者救済や、景気、GDP、地方経済に与える影響、またヤミ金融などの地下経済に与える影響については、科学的な研究が待たれる。
1990年代以前は、積極的な広告活動はなされていなかったが、以後は大手業者を中心にメディアへの露出が多くなった。しかしながら前述した各種諸問題の発生により、貸金関係(特に個人向け無担保融資)の広告について、業界団体である日本貸金業協会による自主的な再規制が行われるようになった。
消費者金融業者のテレビCMは、1970年頃から放映されるようになった。1969年(昭和44年)にプロミスが、1975年にはアコムが、それぞれテレビCMを出稿している。ただ、一方でこの頃から強引な貸付や取り立てなどが社会問題化してゆき、当時は一般的に「サラリーマン金融業者」(略して「サラ金業者」)と呼ばれていたため「サラ金問題」「サラ金地獄」という言葉が定着するとともに、1976年頃からはマスコミ各社による「サラ金批判」の風潮が劇的に高まったことで、1977年に日本民間放送連盟が消費者金融業者のCM排除の申し合わせを行った。 これにより、民放各社は消費者金融業者のCMを一律に放送しないという立場をとるようになった。
但し、在京キー局のネットワーク系列に属しない、サンテレビやKBS京都などいわゆる「独立UHF局」では、それ以降も消費者金融業者のテレビCMを継続して放送しており、日常的に目にすることができた。特にこの頃から、様々な演出(コミカルなもの、武富士ダンサーズなど安心・安定感のイメージを与えるもの)で利用(融資)を促す内容の作品が制作・出稿されるようになった。
1983年に貸金業法と出資法が改正・施行されたことにより、消費者金融業界では悪質な業者が徹底的に排除されていった。一方で、生き残った消費者金融業者は経営の合理化や強固な基盤の樹立、そして社会的な信頼回復に積極的に努めたことで、民放各社は徐々に規制を緩和するようになり、深夜時間帯を中心に再び消費者金融業者のテレビCMが放送されるようになっていった。
1990年代に入ると自動契約機の登場に合わせて、ある程度知名度のあるモデル・タレント・俳優や外国人スポーツ選手らが挙って出演するようになり、“お金に困った → 自動契約機へ行こう・電話しよう”という単純明快な作品が大量出稿されるようになった。消費者金融と関わったことのない視聴者に対して、消費者金融に対する暗いイメージの払拭を図ることにある程度成功したと見られる。実際に、アコムが制作した「むじんくん『宇宙 限定モデル』篇」は全日本シーエム放送連盟(ACC)主催のCMフェスティバルでACC賞を受賞するなど、業界の枠を超えて注目を集めた。
ただ、消費者金融各社とも競って自動契約機のCMを大量に出稿したことで、安易に借金できるような風潮を生み出したことに対する批判の声も高まっていった。そこで消費者金融各社は、1990年代後半には自動契約機に関するCMの放映を控えるようになった。例えばアコムでは、CM中に映っていた「むじんくん」の広告看板から「むじんくん」の文字だけを消したり、CM演者が歌っていた「ラララむじんくん、ラララむじんくん」のフレーズを「ラララララララ、ラララララララ」としたりするなどした(自粛前(2分15秒までのCM)と自粛後)。一方で、独立UHF局では旧来のバージョンそのままで放映されており、この頃までは在京キー局のネットワーク系列に属する放送局とそうでない放送局とで消費者金融業者のCM放送に対するスタンスが大きく異なっていた。
2000年代に入ると、消費者金融のテレビCMは、在京キー局5社全てで全日時間帯での放送が解禁となった。 2002年にはアイフルのCMでタレント犬(くぅ~ちゃん)が出演したことで消費者金融の仕組みを詳しく知らない(金融教育を受けていない)未成年者らにもCMのイメージが広く浸透するようになった。なお、武富士・アコムなど一部業者では1990年代後半よりCM本編上に貸出金利・貸出条件などを細かい文字のテロップで表示するようになったが、当時は強制ではなかったため貸付利率などを表示しない業者も多かった。
その後、日本弁護士連合会などのテレビCMの中止を求める意見書を受け、2005年頃から「午後5時 – 9時までは放送しない」とする方針を決定した。また、消費者金融の意図を伝えていないもの、警告表現のないものは規定不適合とされるようになった。特に在京キー局では各局ごとの表現考査を通過しても『消費者金融CMに関する在京局連絡会』に上げられる仕組みが確立された。連絡会で他局の担当者も含めて再度考査を受け、個別局・連絡会の両方で受理決定を受けた素材のみが放送用として搬入できる。この規定によってCMの差別化が困難になり、長らく放送されていた「コミカルなストーリー」「ポジティブな演技」といったコマーシャルが姿を消し、制服を着た女性店員(タレント・エキストラ、実際の社員など)が「事前に無理なく計画を立てましょう」を比喩的に表現した(“後で返せなくなりますよ”を暗示)、業界間で内容が似通ったCMが中心となっている。また、これを機に自動契約機のCMも姿を消した。
さらに、2006年4月からは、午前7時 – 9時と午後5時 – 10時までは放送できなくなった。午後10時から深夜0時までの時間帯における放映数上限は50本とすることになり、各社のCMをそれぞれ月間100本までに制限することとした。
かつては、最後に「ご利用は計画的に」「使いすぎ、借りすぎに注意しましょう」などの1・2文程度の簡潔な注意文が表示されていたが、過払い金返還訴訟や取り立て問題が表面化した2005年頃から専業大手の注意文の表示手法が下記のように統一されるようになった(2003年からアコムで使用していたもの)。
ラジオでは、大手の他に中堅会社のCMも多く出稿されていたが、2000年代後半以降テレビのそれと同じ非常に厳しい規制が敷かれ、在京局に限れば上場している大手専業ないしは銀行傘下以外の会社は事実上締め出された。また、テレビと同様に『消費者金融CMに関する在京局連絡会』が設けられ、個別局と連絡会による2段階の考査に合格しなければ一切放送できなくなった。
全国紙には、主に大手業者の広告が多く掲載される。1990年(平成2年)頃までは全国紙に広告はなかったが、大手の株式上場のころから新聞社の掲載基準が変更されたのか、広告を見かけるようになった。ただし、全国紙に限れば改正貸金業法が施行した2009年(平成21年)6月以降は消費者金融会社の広告が減少し、代わりに銀行カードローンの広告を見かけることが増えている。
一方、スポーツ紙や夕刊紙では、大手業者以外にも三行広告の形で、業歴の浅い中小業者が広告を掲載しているケースが多い。スポーツ紙や夕刊紙の広告は、かねてから誇大広告や多重債務への引き金などの問題がいわれており、2008年(平成20年)4月21日の紙面を対象に金融庁などが広告を調査した結果によると、約8割の業者が表示項目の欠落や誇大表現などの不適正な広告を行っているとされ、該当業者に対しての行政指導が行われた。
青年漫画雑誌(『モーニング』『ヤングキング』など)をはじめとする、成人男性を主な読者層とした趣味・娯楽色のある各種雑誌にも大手会社の全面広告や、スポーツ紙の三行広告と同様の乗り合い広告(企画広告)が掲載されている。成人女性を読者層とした女性週刊誌やレディースコミックでは前者と異なり、女性専用キャッシングの広告が中心となり、それを扱う業歴の浅い中小業者の企画広告の掲載が多い。
週刊誌においても掲載されているが、そのうち武富士は融資の申し込みを促す内容を廃した企業イメージ広告を『週刊朝日』および『ZAITEN』などの財界雑誌に出稿していた。
週刊朝日については、武富士が2000年(平成12年)7月から51回(約1年間)のグラビア連載記事企画の編集協力費として5000万円を支払っていたが、その連載記事にはスポンサーの記述が一切無かった。これを『週刊文春』が2005年(平成17年)3月末に追及したが、朝日新聞へ出稿した当該号の雑誌広告では、記事題名の一部が広告代理店側によって黒塗りされた状態で新聞紙に印刷される事態となっている。
電車内や駅構内などの広告スペースに、専業大手や銀行グループ、不動産担保融資の貸金業者の広告が掲示されていることが多い。内容のレイアウトなどは#雑誌広告と同一であることが多い。
かつては野球場にも多く広告掲示があったが、2003年(平成15年)に東京ドームが4社あったものを契約満了で全廃してから、横浜スタジアムや千葉マリンスタジアムなど、各地でこれに追随する動きが相次いでいる。2010年(平成22年)9月現在、西武ドームには武富士の広告がある。なお、東京ドーム (企業)は2006年(平成18年)まで中小消費者金融に対して運転資金を融資する卸金融の「後楽園ファイナンス」などが関係会社にあり、売却に伴う損失発生まで卸金融事業の利益が東京ドームの一定の収益確保に貢献していた。
自動契約機のCMは、同業のCM規制緩和に伴い登場した。大手6社では、「いらっしゃいましーん」(プロミス)、「むじんくん」(アコム)、「お自動さん」(アイフル)、「¥(エン)むすび」(武富士)、「ひとりででき太」(レイク)、「ポケットバンク」(三洋信販)など、ウィットに富んだネーミングが特徴である。これは前述したとおり、暗いイメージを払拭するための試みであり、これらのCMは話題を呼び、表向きのイメージ改善には成功している。特にアコムの「むじんくん」のCM(セイン・カミュらが出演)は宇宙人をモチーフにしたコントが一世を風靡し、CMソングも流行した。
時期を前後して、アイフル「お自動さん」のイメージキャラクターであるお地蔵5人がダンスしていたSatchomo(サッチョモ)の「お地蔵サンバ」や、武富士のCMのタイアップとして長山洋子の「むすばれたいの」等のCMソングがCD化され発売された。
武富士、アコム、プロミス、アイフル、三洋信販、CFJ、GEコンシューマー・ファイナンスの7社合同で、「ストップ! 借りすぎ」というキャンペーンが、2006年(平成18年)6月9日から2007年(平成19年)3月頃まで実施されていた。
「まだ借りても大丈夫」、「返済はどうにかなる」といった考えの危うさに気づき、多重債務に注意してください、といったキャンペーン内容で、“グラスに注ぎ続けた水が溢れ出す”(グラスの容積が限度を、水は借金を表している)というテレビCMも放映されていた。
また、各社独自のCMの最後も「ストップ! 借りすぎ」という統一ナレーションに差し替えられていた。
集客のために、多くの会社がキャッチフレーズを決めている。「返済を計画的にしましょう」、といった表現がされているものが多く、CM内で使われているのもあれば、店頭で使われているのもある。
大手・準大手の消費者金融の多くは契約を行っていない者に対して、ダイレクトメールや電子メールでの融資勧誘は一切行っていない。
これらやその関連会社を名乗って一方的に送りつける(広告物を無断使用し電話番号などを書き換える)ダイレクトメールや電子メールはまず偽物と思ってよい。融資詐欺(貸します詐欺)の可能性が高い。
ただし、電話営業については、既存の契約者を対象に行われる場合がある。
電子メールについては、消費者が会員となっている各種サービスサイト(ポイント交換サイトのGポイントやネットマイル、まぐまぐ、プロバイダのセールス情報など)の公式メールマガジンを介して消費者金融の申し込みを勧誘する内容(アフィリエイト)があるが、これは公式な内容であり、虚偽の融資詐欺には含まれない(メールマガジンが不要であれば、会員がメールマガジンの配信元のサイトで配信停止手続きをするか退会する必要がある)。
貸金業者のうち消費者金融を主事業とし、2000年(平成12年) – 2009年(平成21年)の間に会社単体または親会社(支配会社)が株式上場していた企業。このうち、規模(貸付高・資産)の大きい武富士・アコム・SMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)・アイフル・レイクアルサ・三洋信販(消滅)は消費者金融大手と位置づけられている。
1997年(平成9年)2月に、武富士・アコム・プロミス・アイフル・三洋信販が「消費者金融5社連絡会」を結成。同年5月に旧・レイク(現法人とは別会社)も加入し消費者金融連絡会と改称。連絡会では消費者金融の計画的な利用を啓発するテレビコマーシャルを放送し、学者風の出で立ちをした「タパルス(”TAPALS”)博士」が登場する。博士の名前は加盟会社の頭文字を本社所在地の東から西に並べた(Takefuji・Acom・Promise・Aiful・Lake・Sanyo)ところから付けられたものである。消費者金融連絡会は2009年(平成21年)4月30日にホームページを閉鎖した。
「レイク」は1998年(平成10年)に米・GEキャピタル傘下のGEコンシューマー・クレジット(当時)が事業承継し、2003年(平成15年)4月に連絡会を脱退した。なお、当初から連絡会のメンバーである三洋信販と同規模であったため、脱退後もそのまま大手6社として数えられることが多かった。
「レイク」を手がけるGEコンシューマー・ファイナンスは2008年(平成20年)に新生銀行子会社となり翌年新生フィナンシャルへ社名変更、資本構成上は完全な銀行系となる。三洋信販は2010年(平成22年)にプロミスが吸収合併し法人格が消滅した。また、「レイク」の商標と店舗網などは2011年(平成23年)10月1日から親会社の新生銀行が承継し、銀行カードローンへ鞍替えして新規展開が行われる(それまでのレイク契約者は「新生フィナンシャル カードローン」として新生フィナンシャルと契約が継続する)。
また、アコムは三菱東京フィナンシャルグループ(現三菱UFJフィナンシャルグループ、MUFG)との業務提携を経て2008年(平成20年)12月にMUFGの連結子会社となり(上場は維持)、プロミスも三井住友フィナンシャルグループ (SMFG) との業務提携、三洋信販の吸収合併を経て、2012年(平成24年)4月にSMFGの完全子会社となった上で同年7月に商号をSMBCコンシューマーファイナンスに変更(サービス名称は「プロミス」を維持)しており、経営破綻した武富士を除くと、2012年時点で現存する専業大手で独立系であるのはアイフルのみとなっている。
専業大手及び専業大手の子会社。
銀行系消費者金融とは、設立当初、主に銀行と大手専業会社(一部信販会社などとも)の合弁で2000年(平成12年)から2002年(平成14年)頃迄に設立された消費者金融会社である。主にサラリーマンや公務員など継続的に安定収入のある人物を対象としているが、銀行本体のカードローンでは収入などの属性で借入が難しい人物で、専業会社で借りるには(専業会社から見て)高属性の人物であるといった、銀行ローンと専業の中間クラスのような層が対象である。
資金面で出資者である銀行等のバックアップがあるなどして、利息制限法の基準の範囲内の貸出利率で営業しており、専業会社と違って有人店舗を持たない点が特徴的である(ダイレクトマーケティング)。郵送や電話・インターネットなどで申込し、比較的短時間(1時間程度)で審査の可否が決定し、契約が成立次第ローンカードを郵送するなどして利用が可能になるものである。
この申込み時の審査に、出資者である消費者金融会社に蓄積されたデータとノウハウを活用することによって、迅速な審査の可否判断が可能になっているほか、万一、延滞事案などが生じた際の債権回収なども実質的に消費者金融会社側が請け負う様になっているのがほとんどである。消費者金融と言う言葉や金融会社に抵抗を覚える人も数多くいる事から、当初から「○○銀行グループ」などと強調したり、「”個人向けローン会社”」などの表現を全面的に出すものが多い。
設立当時はグレーゾーン上限金利での貸付が通常であった専業の消費者金融よりも金利が10%前後も低いことと、銀行系であることを強調した宣伝を行っていたが、最近では、専業大手も大手銀行系グループの一員となったり、概ね2007年(平成19年)以降に契約した新規顧客に対してはグレーゾーン金利を撤廃して銀行系金融業者と同等以下の金利に引き下げる等の施策を行った結果、両者の差異はほとんどなくなり、現在では専業と銀行系の区別と存在意義は曖昧なものとなってしまっている。
弁護士・認定司法書士等が任意整理を受任した場合は、利息の引き直しはなく、将来利息は原則として付けずに残債務を一括・分割返済(3 – 5年)する。
専業会社として設立され、銀行の資本参加(出資・買収)により銀行子会社にあるもの。
専業大手子会社に属さない独立資本だが、地域規模で準大手の会社。経営の弱体化により持株会社に買収された会社が多い。
クレジットカードを本業とするノンバンクの子会社。
経営が弱体化した中堅会社を実業家らが買収し、グループに組み入れたもの。クラヴィスのように当初の親会社(プロミス)がバルクセールで投げ売りしたものを買収し、譲受債権の回収などで収益を上げる事例が多い。
上記項目に属さないもの(金融系以外の事業会社傘下の消費者金融)
アメリカでは、サブプライム問題で日々の生活費の調達が困難になった個人がペイデイローン (payday loan) を利用するケースが増え、ペイデイローンを取り扱う企業の収益が増加している。ペイデイローンの利息は年利率換算で数百パーセントに達する場合がある。
中華人民共和国では、従来消費者金融は認められていなかったが、2009年5月12日、中国銀行業監督管理委員会は消費者金融の制度導入に向けたパブリックコメントを開始した。香港では日系企業としてプロミスの現地法人、独立系の日本網絡通財務が営業している。
2010年、プロミスが深セン市で現地企業との合弁で消費者金融事業の認可を取得。2011年に瀋陽市で営業許可を取得した。
韓国では、業界1位の「ラッシュ・アンド・キャッシュ」(在日韓国人が設立)、業界2位の「三和マネー」(三和ファイナンスの韓国子会社)の日系消費者金融業者で、業界シェアの半分以上を占める。100パーセントを超える金利での貸付や、ヤミ金融業者の横行、厳しい取立てが行われていたため、日本同様社会問題化している。上限金利は段階的に引き下げられ、現在では24%となっている(2018年2月8日現在)。上限金利が日本より高いため、上限金利引き下げで経営が厳しい日本の消費者金融業者が韓国に進出を検討中といわれている。イメージの悪い消費者金融専業事業者が、貯蓄銀行を買収して間接的に消費者金融市場に参入する動きがある。かつてのKCカード、会社分割後のJトラストカード)、SBI、オリックスなど日本の金融会社が貯蓄銀行を買収している。
要保証人または有担保の商品への借り換えは債務整理(任意整理、破産、調停、民事再生等)、過払い請求の障害になることがある。
クレジットカード業を営む企業においては、販売信用業務よりも消費者金融業業務による収入の方が多い状況となっていた。しかし、貸金業法改正、過払い金返還請求により収益が悪化。トヨタファイナンスなどのように、消費者金融業務から撤退する企業も現れた。

失業

失業

失業(しつぎょう、)とは、仕事を失うことおよび働く意思も能力もあるのに仕事に就けない状態を指す。

特に、仕事が無い状態を指す無職(むしょく)のうち、就業に向けた職探しを行っている者の状態を指し、そのような状態の者を失業者(しつぎょうしゃ)と言う。日本など一部を除いて北欧の福祉国家でさえも青年失業率が20%から下がらないことがOECD加盟国で大きな問題になっている。
失業は、社会が持つ労働力を最大限活用するという観点からも問題がある。
この項の説明は、おおむね、日本での定義(世界のものと比べて狭義の失業)に基づいてのものである。失業率の計算方法は各国それぞれ異なる。
労働力人口に対する失業者数の割合を失業率と言う。→#失業率
失業率は、
というの二つの側面がある。また失業率は経済構造によっても変動する。→#景気等との関係
日本における完全失業者とは働く能力と意志があり、しかも本人がハローワークに通うなど実際に求職活動をしているにもかかわらず、就業の機会が社会的に与えられていない失業者のことを指し、失業率の算定にも用いられる。よって以下の者は厚生労働省の定義する失業者とはならない。
失業には自発的失業、摩擦的失業、非自発的失業の3様態がある。この分類は、ジョン・メイナード・ケインズによってなされたものである。
失業者 = 自発的失業者 + 摩擦的失業者 + 非自発的失業者
社会で職を求める人が、すべてが職についている状態を完全雇用という。「完全雇用」とは「失業者が一人もいない」ということではなく、一定の摩擦的失業の存在を含んだ状態のことをいう。潜在成長率が、実際の経済成長率と等しくなった場合、「非自発的失業」は無くなるとされている。
失業を発生要因別に、需要不足失業、摩擦的失業、構造的失業の3種類に分類できる。
新古典派経済学やマネタリストの見解では、市場経済が機能することで労働者の需要と供給は一致し、求職者はすべて職を得ることが可能となるとする。ただし、ケインズ経済学は市場メカニズムは短期的には上手く働かないと指摘しており、非自発的失業が発生するとしている。非自発的失業はケインズによって発見されたものであり、非自発的失業の存在を認めるかどうかについては、ケインズ経済学的立場と新古典派的立場の間で意見が分かれる。
労働市場では、家計が労働を供給し、企業が労働を需要する。労働の需給が一致するときに現実の雇用量と賃金が決まる。労働市場では、賃金が高ければ、企業は雇用を減らし労働者は供給を増やす。新古典派経済学は、賃金が労働の需給を一致させるように決まると考えるため非自発的失業は存在しないとする。名目賃金の低下は、労働の供給が需要を上回るときに起きる。
これは新古典派が、価格の自在な伸縮によって全ての売れ残りの解消が可能とするセイの法則を前提として、失業者は現在雇用されている労働者よりも低い賃金を提示して職を見付けることが可能であるとするためである。賃金価格の下落によって失業が解消されないのは、その賃金以下では働かないという労働者の選択に唯一の原因があるとする。
これに対してジョン・メイナード・ケインズのマクロ経済学は、有効需要の不足が失業発生の理由とみなした。ケインズ経済学では、「賃金は硬直的なので、需要と供給が一致することはない」とされる。ケインズ経済学では、労働市場では賃金の下方硬直性があるため失業は存在する。また、財・サービス市場においても価格は硬直的であり、価格が瞬時に調整されるわけではない。価格・賃金は短期的にはゆっくりとしか調整されない。ケインズ経済学の賃金・価格の硬直性は短期の仮定であり、数年間かければ賃金・価格はやがて調整される。ただし、利子率の下方硬直性では、ケインズ的不況が短期ではなく中期(10年程度)に渡って継続される。
ケインズは、セイの法則と相対する有効需要の原理を提示し、社会全体の生産物に対する需要によって雇用量が決定されるとして、不完全雇用を伴う均衡の可能性を認める。そのさい有効需要の不足によって発生した非自発的失業は、総需要を拡大することによって解消されなければならないとした。
名目賃金の下方硬直性を説明する要因としては、相対賃金仮説、効率賃金仮説、インサイダー・アウトサイダー仮説など様々な理由が考えられている(詳しくは労働経済学を参照)。
日本では非自発的失業者の数は、1990年の33万人から2000年には102万人へと急増しており、失業者の3人に1人が非自発的失業者となっている。
構造的ないし摩擦的理由で失業している人の労働人口に対する割合を自然失業率(インフレ非加速的失業率、略してNAIRU)という。自然失業率(の解釈の1つ)は、経済が均衡状態にあるときの失業率である。
政府は公共政策により失業率を調整できるが、失業率を自然失業率以下にしようとすると、インフレが起こる。従って、インフレを起こさずに政策によって減らせる失業は循環的失業の部分だけである。
また、ジョージ・アカロフらによって、自然失業率の水準はインフレ率によって左右されることが指摘されている。これら研究によれば、インフレ率がある閾値から低下すればするほど、自然失業率の水準が高まっていくこととなる。よって、インフレ率が非常に低いないしデフレの経済において、失業率を低下させる政策が採られた場合、一時的には失業率が自然失業率を下回ってインフレを加速させるが、それによってインフレ率の水準が高まると自然失業率の水準が低下するため、失業率が自然失業率よりも高い状態になればインフレの加速も止む。このことはまた、インフレ率などを勘案せず、失業率の水準だけを見て循環的失業の規模を推計することや、産出量ギャップの大きさを判断することの危険性を示している。
失業率は総産出量(実質GDP)と潜在産出量との差をパーセント表示したもの(産出量ギャップ、GDPギャップ)に関係している事が知られている。
産出量ギャップが負の場合は、資源を完全には利用できていない状態なので、失業率は自然失業率よりも高くなる。逆に正であれば、失業率は自然失業率よりも低くなる。
なお、産出量ギャップが正の場合をインフレギャップといい、負の場合を不況ギャップという。
産出量ギャップが短期的には0にならない理由として、雇用契約が挙げられる。景気が悪化しても、企業は契約の関係上、短期的には社員の給料も下げない。したがって給料は完全雇用を達成する水準より高い水準となってしまい失業者が増加し、それにより産出量ギャップが生じる。
過去のデータから、産出量ギャップと失業率には次の関係があると推定されている(オークンの法則):
これらのように、景気は実質GDPによって決まるが、それに対し失業率は産出量ギャップによって決まる。したがって景気(実質GDP)が上昇したとしても、その上昇速度が潜在産出量のそれよりも緩やかなら、「雇用なき景気回復」(ジョブレス・リカバリー)が起こる。
最後に、失業率を自然失業率以下に下げようとし続けると何が起こるのかを見る。例えば2%のインフレを起こすと、失業率を自然失業率以下に下がる。しかししばらくすると、国民は2%のインフレ率を予想に織り込んで行動するようになる。したがって再び失業率が上昇する。失業率をもう一度下げるには、さらに高い率のインフレを起こさねばならない。しかしこの高いインフレ率もそのうち予想に織り込まれるので失業率が再び上昇してしまう。このように、失業率を自然失業率以下に抑えつづけるには、インフレを加速させ続けねばならない。
名目賃金の下方硬直性がある場合、労働需要を増加させるには物価の上昇が必要であるが、労働需要の増加によって完全雇用が達成されると、それ以上は需要が増えても物価が上昇するだけになってしまう。
次のような失業も考えることができる。
中世キリスト教世界(=カトリックの世界)では、貧しいことは「神の心にかなうこと」とされ、そういう人に手を差し伸べることは善行であった。宗教改革(=プロテスタンティズムの登場)は、こういった見方を一変させ、「怠惰と貪欲は許されざる罪」で、物乞いは「怠惰の原因」として排斥し、労働を「神聖な義務」であるとした。プロテスタンティズムの流行は貧しいものへの視線を変容させ、「神に見放されたことを表す」という見方が広がり、都市を締め出された貧民は荒野や森林に住みつくか、浮浪者となって暴動を起こすようになった。
イギリスでは1531年に王令により貧民を、「病気等で働けない者」と、「怠惰ゆえに働かない者」に分類し、前者には物乞いの許可を下し、後者には鞭打ちの刑を加えることとした。1536年には成文化され救貧法となり、労働不能貧民には衣食の提供を行う一方、健常者には強制労働を課した。産業革命が加速する18世紀まで、健常者の「怠惰」は神との関係において罪として扱われ、救貧院の実態は刑務所そのものであった。18世紀以降、キリスト教の価値観を離れた救貧活動が広がり、ギルバート法の成立やスピーナムランド制度がイギリスで成立し、救貧や失業に対する価値観はようやく変転を見せた(救貧法参照)。
産業革命以後、賃労働者の比率が高くなったことから、失業は重大な社会問題として取り扱われることとなった。19世紀のイギリスにおいては、金融と設備投資の循環から、ほぼ10年おきに恐慌が発生しており、そのたびに失業率が10%近くにまで上昇する循環があった。
20世紀に入って、この循環は次第に崩れ、1929年に発生した世界恐慌以後は、各国で失業が急増。アメリカでは一時失業率が25%に達し、社会革命が公然と叫ばれた。なお、この時の失業はニューディール政策により一時的に減少したが、政策が後退すると再び増加し、第二次世界大戦による大規模な軍需発生まで解決されなかった。
戦後、ブレトンウッズ体制の下で西側諸国は奇跡的な高度成長を達成。国家による経済政策への大幅な介入により完全雇用がほぼ達成された。1970年代に入ると、名目賃金の上昇とオイルショックの発生で供給構造が傷み、インフレーションの下で失業が増加した(スタグフレーション)。
1980年代に入ると不況からの脱出を図り新自由主義的経済政策(レーガノミクス、サッチャリズム、ロジャーノミクスなど)が導入され、労働市場が流動化した国々では経済成長率が高まったが、同時期にインフレ率抑制を目的にした金融政策が採用され、失業率は大幅に上昇した。
1990年代になり、アメリカ・イギリスは構造的な高失業から脱出したが、大陸欧州諸国は高い失業率に甘んじた。また、欧米に比べ低失業率だった日本においても、バブル経済崩壊以降の長期不況により失業が顕在化、社会問題となった。
失業を測る尺度である失業率は、労働力人口に対する失業者数の割合で定義される。一般に失業率という場合、完全失業率を指す。失業者とは「働く意思と能力があるのに仕事に就けない状態にある人」を指すので、仕事探しをあきらめた人(自発的失業者)は失業者には含まれない。
なお、仕事探しをあきらめた人は就業意欲喪失者(discouraged worker)と呼ぶ。ちなみに、労働力調査では、働く意志があるとは、ハローワークに通って職探しをするなど仕事を探す努力や事業開始の準備をしていること、とされている。仕事に就けない状態には仕事をしなくても職場から給与などを受け取っている場合を含まず、こうした場合は休業者として扱われる。
パートタイムマーや職探しを諦めた人などを含む失業率に、U6失業率という統計がある。
労働力調査における失業者や失業率の定義については、「労働力調査」の項目参照。
失業率は、国全体の景気動向を知る上で重要な指標となっている。不況による失業率の上昇は、労働力が有効に活用されていないという経済的な無駄が増えていることを意味する。
失業率は様々な経済活動と関連しながら変動する労働市場においての需給の引き締め度合いを表すシグナルとなる。
失業率の抑制は経済政策の重要な目標とされる。また、失業率を減らすことは、労働の経済学の重要な課題である。
失業率は、
というの二つの側面がある。
失業率は景気と相関があると言われているが、動きが一致するとは限らない。失業率は、景気循環要因以外にも、経済構造に関連する要因によっても動く。伝統的な日本的経営のもとでは、企業は従業員の雇用を守ることを企業の社会的使命の1つと考えており、人員整理、特に解雇をなるべく忌避し、ぎりぎりまで状況を見極めようとするからである。その反面、採用についても、大企業になるほど、慎重で計画性や人員構成のバランスを重んじ、不要不急の採用は避ける傾向にある(一方で、近年非正規雇用の採用は柔軟に行っており、雇用関係指標を見る際にはその点も考慮に入れる必要がある)。
また、労働者側も、不況が長期化すると就業意欲喪失者が増加するが(不況で求人が少なくなり「どうせ就職できない」とあきらめる人が増える)、このため失業者数が減り、失業率を押し下げる要因になり、表面上は景気が回復したかに見える。逆に、景気回復局面では(景気が良くなって求人が増えるだろう、と)新規に仕事探しを始める人が現れるので、かえって就労を希望する「失業者」が増えて、失業率を押し上げることになる。
以上のようなことから、失業率は景気に対して遅行指標となっており、失業率のみならず他の景気指標を併せてみる必要がある。失業率は景気動向と比較して、通常1年から1年半送れて変動する。また、景気の先行指数の代表である株価と、遅行指数の一つである失業率は、一時的に正反対の動きを見せることがある。
中国では、経済成長率が1%下がると、100万人の失業者が生まれると試算されている。
各国の失業率及び概況を示す。ただし算定基準は日本と異なる国も多い。
失業保険の給付期間の長い国ほど失業率が高い傾向があり、給付期間が短期なほど失業率が押し下げられる傾向が顕著となる。
“各国の失業保険給付期間については雇用保険を参照のこと。”
研究チームの分析によると、2007年まで欧州では、相対的貧困レベルで世代間格差がなかった。しかし、2007年以降に欧州の65歳以上の高齢層の所得は10%増加した一方、同期間に15~24歳の若年層の所得はむしろ激減した。研究チームはその背景に「若年失業率」と指摘している。EU統計局によると、2007年にEU地域の若年失業率は15.6%だったが、2014年に23.8%まで急騰した後、2016年にも20.9%で長期間の高い若年失業率が続いている。若年失業問題が欧州で極限に達した2014年には南欧諸国でスペインの53.2%、ギリシャの52.4%、イタリアの42.7%で約半分の15才から25才が失業者であった。国際通貨基金の研究者は、「失業の呪いが長期間持続されたことで青年たちはより一層仕事を見つける難しくなっている」、「欧州の若年層は、全体の世代の中で資産に対する負債比率が最も高い世代であり、金融危機が再発した際に青年層が最も脆弱で打撃を受けることになる」と述べている。2017年に世界の青年失業率は二年連続で悪化し、13.1%だった。世界で15~24歳の若年労働者で失業中なのは2017年で7090万人、2018年には7110万人に増加することが予測されている。高い若年失業率で若者が就職難である韓国と対照的で人手不足の日本に就職する韓国人が毎年増加している。日本の厚生労働省が発表した2017年の「外国人雇用現状」で2008年には約2万人だった日本で就業した韓国人が2017年10月時点で5万5900人になって、初めて5万人越えした。2016年からの増加幅は過去最大で1年間で約8000人増加し、2008年からの9年間で約2.7倍になった。2017年の韓国の若年失業率は2000年以降最も高い9.9%で、日本を就職先として注目する韓国人が増加し、日本語の学習熱が復調している。
以下は総務省が公表している労働力調査の『15歳以上から64歳まで』と『65歳以上』を合算した完全失業者数と完全失業率との推移である。(2017年は、労働力調査(基本集計)平成29年7月分による)
1990年代以降から非正規雇用の需要が高まった背景には、バブル崩壊前の『雇用・債務・設備』の「3つの過剰」にバブル崩壊後に企業が直面したことにある。3つの過剰への処置とさて企業はリストラに着手し、人件費の抑制に注力して非正規従業員を多用するようになった。賃金体系も基本給よりも、その年ごとの企業業績に連動させやすい賞与(ボーナスなど)に給与の重きを置くようになった。2003年に野口旭によると産業構造の転換に伴う自発的失業・健全な失業率は2-3%とされている。
太平洋戦争後の長い間、日本の失業率は1-2%と低かったが、2001年時点で失業率は5%弱と以前より高くなっている。2002年に当時では日本で戦後に過去最高の完全失業率5.5%を記録、2009年7月には完全失業率5.7%と戦後の過去最高を更新した。
2000年時点で平均失業者は320万人と1990年の2倍以上となっている。
2010年の日本では、自発的失業者と摩擦的失業者の割合は3.5%程度とされている。
失業率が2%の場合、日本全体の完全失業者数は約130万人であるが、5%の場合約350万人となる(2011年時点)。2011年時点の日本の完全失業率は4-5%前後、完全失業者数は約300万人超であり、失業率を1ポイント改善させるためには、約60万人の新規雇用を創出する必要がある。
失業率は、年齢別・地域別で見るとばらつきが大きい。年齢別では若年層(15-24歳)の失業率は平均7.7%と全体平均の3.9%を大きく上回っている(2007年時点)。2009年時点で日本の10-20代前半までの世代失業率は10%に接近しているという国際機関の調査も出ている。地域別では首都圏に比べ地方の失業率は高く、東海の2.7%から北海道の5.0%まで地域間で大きく差が開いている(2007年時点)。
2016年には正規の職員・従業員が年平均 3364 万人と前年よりも51 万人の増加した。背景にはアベノミクスによる景気の上向きで新規雇用がまず非正規として創出されたため、予想よりも高い労働者需要で求職者有利な売り手市場に変化したために企業が当初の景気による雇用予定よりも人手不足になった。そのため、2015年から非正規採用者や対象だった者を正規雇用に切り替え始めたことで2年連続の増加となった。2017年には『非正規から正規への逆流』が始まり、2017年には『正規職の有効求人倍率』が1を上回って正規職のされた求人数が上回る流れに変わった。アベノミクス以降の成長率や雇用の増加率から失業率は2018年に0.9%、2019年0%近くにまでなると予測されていて、企業は空前絶後の人手不足から今雇っている非正労働者・新規採用者の正規採用への増加継続に加えて賃上げや待遇競争・脱デフレにより、デフレという物価や売り上げが減少していく時には最適化モデルだったブラック企業は労働者が集まらなるため路線の転換・倒産が相次ぐと予想されている 。
2012年から2017年までの5年の間に韓国の青年失業率が2.3%ポイント高くなって9.8%に悪化したのに対し、米国は5.8%ポイントで下落で7.2%、日本も2.6%ポイント低下した4.4%で日本の青年失業率はOECDの半分まで低くなった。
日本の労働力調査(統計)では15歳以上の人口を原数値として、労働力人口、非労働力人口を算定している。
しかるに
である。そのため
求人数が増えると就業者数が増加して失業者数が低下し、求人数が減ると就業者数が減少し失業者数が増加する。すなわち就業者数と失業者数との間にはトレードオフ(一方が増えれば他方が減る)の関係があると誤解されがちだが、かならずしも両者の間にトレードオフの関係は存在しない。これは、非労働力人口の動向が失業者数に影響を与えるためである。
失業率は、
により算出されているため、求人数が減少する中で完全失業者が就業を諦め労働市場から退出(リタイア)することで失業率が改善する可能性がある。逆に、景気が回復し始めると就業を諦めていた失業者が職探しを始めるため、一時的に失業率が悪化する場合がある。
高い失業率の問題は、国全体としての所得の低下にとどまらず、
といった痛みを人々に対して与える。
失業率と犯罪発生件数は相関があり、失業率が下がると犯罪発生件数が下がると2006年版犯罪白書で報告されている。
経済学者の橘木俊詔は「失業は人間に生じる不幸の最たるものの一つである。職を失うということは、生きるための所得がゼロになることを意味するからである」と指摘している。経済学者のジョセフ・E・スティグリッツは、失業こそ人間価値の既存を伴う最悪の事態の一つであり、これを解消することが人間の幸福を促すと指摘している。
経済学者の竹中平蔵は「最も重大な経済の問題は、明らかに失業の問題である。失業は人の生活に直接的に影響を与える。失業とは、貴重な資源が遊んでいる状態、有効に使われていない状況であり、経済の効率性という観点からこれほど非効率なことはない。失業の問題は、最大の政策課題である」「もちろん時代によって違うが、経済学・経済政策の最大の目標は失業を防ぐことである」と指摘している。
経済学者の田中秀臣は「失業者が大量に漂流すると、様々な社会的コストが発生する。生活保護の増加、最低賃金の引き下げ、親の低所得による子どもの学力低下、犯罪率の増加などである。そう言った形で社会が負担を背負うのと、税金で直接雇用するのとでは、歳出という点で代わりがない」と指摘している。田中は「経済停滞の中で効率性だけを追求すると、失業問題はさらに悪化する」と指摘している。
経済学者の高橋洋一は「失業率が下がれば、自殺率や犯罪率が低下することが知られている。さらに、生活保護率も下がる。ブラック企業も淘汰できる。いずれにしても、失業率は最も重要な経済指標の一つである」と指摘している。
経済学者の伊藤元重は「失業率という数字だけでなく、実際に失業した人がどの程度の期間、失業者の状態であるかが問題となる。失業者がどのような状況にいるのかを詳しく見る必要がある」と指摘している。
経済学者の大竹文雄は「不況では失業が発生し、努力と無関係に仕事に就けない人が出てくる」と指摘している。
アメリカの失業統計について、経済学者のスティーヴン・ランズバーグは「失業統計には、失業者の数だけでなく、平均失業期間も含まれる。こうした数値は、特定の日の失業者を調査し、失業期間を訊ねてその回答を平均して算出される。結果、過大となる。長期失業者が調査日に失業している確率は高く、短期失業者が調査日に失業している確率ははるかに小さい。よって、特定の日・週に集められたサンプルに長期失業者が相対的に多く含まれる」と指摘している。
労働者は、自分の能力に適合した職場を見つけるのが困難であったり、技術の向上に期間がかかったりするため、すみやかに転職できない。これを「雇用のミスマッチ」という。
厚生労働省の2002年度版『労働経済白書』では、2001年の完全失業率5%のうち、3.9%は構造的ミスマッチ失業であり、1.1%が需要不足による失業と推計されている。第一勧銀総合研究所の推計によると、2000年の労働需給のミスマッチによって発生した失業者数は、失業者全体の7割程度を占めているしており、雇用を改善させるためには景気回復によって労働需要を増加させるとともに、労働需給のミスマッチの解消が欠かせないとしている。
エコノミストの小峰隆夫は、ミスマッチは、1)職能、2)年齢、3)地域、4)産業、などの違いによって起こるとしている。
経済学者の浅田統一郎は「日本の『完全失業率』という指標は、欧米の指標に比べて『失業率』が極端に低く出るバイアスを持っている」と指摘している。経済学者の飯田泰之は「日本の失業統計は、就職活動を止めると失業者として計上されない。そのせいで不況下でも一時的に失業率が下がったりする」と指摘している。経済学者の原田泰は「現在(2013年)の日本の失業率は4%程度であるが、この内の1%は雇用調整助成金で失業率を無理やり抑えている」と指摘している。
経済学者の橘木俊詔らの研究によると日本の潜在失業率は10%に達するとしている(2001年時点)。
経済学者の岩田規久男は「日本経済の場合、フィリップス曲線・オーカン法則から判断すると、失業率2.5%程度が完全雇用の目安となる」と指摘している。田中秀臣は、2004年の時点で「日本では、インフレが加速しない失業率(NAIRU、非インフレ加速失業率)が2.3-2.4%程度と推測できる。NAIRUよりも失業率が高いときには、この失業率を低下させてもインフレは加速せず、デフレが解消すれば失業率は劇的に低下する」と指摘していた。また田中は2009年の時点では「日本の自然失業率は3%台前半か、2%台後半と言われている」と指摘している。原田泰は、2015年時点で「日本の完全雇用の失業率は2%台である」と指摘している。原田は2013年の時点で「日本の場合、失業率が2%に近づくと急激なインフレとなる。その直前のインフレ率が2%程度である」と指摘している。高橋洋一は、2015年の時点で「日本の完全雇用失業率は、3-3.5%程度であろう」と指摘している。
企業内失業は日本独特の現象であり、日本の統計上の失業率を低く抑えている要因と指摘されている。
飯田泰之は「日本の場合、失業率より有効求人倍率の方が労働市場の状態を表す統計として参考となる。日本では、有効求人倍率と失業率の間にラグがある」と指摘している。
1943年の『ベヴァリッジ報告書』では、完全雇用は政府の適切なマクロ経済政策によって実現されると報告されている。
池田信夫は「失業者を『労働需給に対して需要が不足して失業が起きるのは、労働市場が歪んでいるからであり、失業者に責任があるわけではない」と指摘している。池田は「『雇用対策』として雇用規制を強化するのは、労働コストを引き上げて雇用を減らすだけである。GDPを引き上げて雇用を創出することが、最大の雇用対策である」と指摘している。
経済学者の野口旭、田中秀臣は「ケインズ後の時代を生きる人々にとって、雇用・物価の変動は受け入れなければならない『運命』ではない。政府・中央銀行がマクロ経済政策によって総需要を適切に管理すれば、適正な失業率・物価上昇を維持することは可能だからである」と指摘している。野口、田中は「政府・中央銀行が、マクロ安定化という機能の行使を怠れば、そのツケは必ず手に負えないほどのデフレ・失業となってはね返ってくる」と指摘している。
明治大学国際総合研究所フェローの岡部直明は「雇用創出には、マクロ経済政策と産業政策が必要である」と指摘している。
岩田規久男は「長期的に潜在成長率が維持できなければ、非自発的失業は長期にわたって存在してしまう」と指摘している。
伊藤元重は「日本の場合、多くの労働者は企業に雇われているため、日々賃金が動いて労働供給が増減するわけではない。ただし、パート労働・アルバイト・派遣労働など、市場状況によって賃金が上下するところで経済全体の労働供給が調整されていることも事実である。また、退職年齢が近い労働者も賃金の高さによっては、退職するかどうかを選択できる。このようにマクロ的に考えると、賃金が上がれば労働供給が増え、賃金が下がれば労働供給も減ると考えられる」と指摘している。伊藤は「常識的に考えて、賃金が高ければ企業はできるだけ労働者を使わず、機械・設備に依存した生産・販売をとる。一方で、賃金が安ければ企業は高価な機械・設備を使わず、労働集約的な生産をとる。企業の生産方法や労働者に頼る活動は、賃金によって大きな影響を受ける。一般的に、賃金が安いほど企業による労働需要は増え、賃金が高いほど企業による労働需要は減る」と指摘している。
飯田泰之は「失業率が高くなればなるほど、賃下げがされやすくなる。労働者にとって待遇改善の最大の条件は、労働者が不足することである」と指摘している。
竹中平蔵は「失業の問題を拡大させずに、雇用の調整を進めるための解決策と考えられるのは、賃金を抑えるという方法である」「雇用を守るためには、賃金を抑えなくてはならない」と指摘している。竹中は「不況になった場合、賃金が下がらなければ、企業は雇用をしなくなる。労働需要が減り、失業者が大量に出る。しかし、賃金を大幅に引き下げることができれば、雇用の減少は抑えられ、失業者は増えず、社会不安も増幅しない」と指摘している。
大和総研は「名目賃金の上昇率と失業率の関係は、フィリップス曲線で逆相関となる」と指摘している。
高橋洋一は「実質雇用者報酬は、実質賃金と就業者数を掛け合わせたものであり、経済全体としてみれば、実質賃金の低下は、就業者数の増加によって補われる」と指摘している。
田中秀臣は「実質賃金は企業にとってはコスト以外のなにものでもない」と指摘している。経済学者の飯田泰之は「実質賃金の上昇は、労働者を雇う企業からすると費用の増加を意味するため、企業は労働時間の縮小や正社員の解雇で対応しようとする」と指摘している。
「賃金を上げて消費を拡大させれば、景気が回復ある」という議論について、竹中は「このような意見は、所詮ゼロサムの議論である。逆に『賃金を下げて企業の利益を拡大させれば、設備投資が拡大し、景気が回復する』と言われれば反論できない。つまり、賃金の引き上げが経済を活性化させるかは、経済状況によって決まる」と指摘している。
橘木俊詔は「低賃金にすれば失業者の数を削減できるという新古典派経済学の命題は、賃金の低い非正規労働者の増加という政策によって実行されていると解釈できる。これら非正規労働者の生活は苦しくてよいのかという課題は残る」と指摘している。
岩田規久男は「デフレ下で、企業が雇用の維持のため、賃金を引き下げると、企業にとって残ってほしい優秀な労働者から辞めていってしまう。優秀な労働者ほど転職が可能であるからである。企業にとって賃金の引き下げは最後の手段である」と指摘している。
伊藤元重は「失業が発生した場合、賃金を下げれば失業は解消されるかと言えば、現実はそう簡単なものではなく、賃金は様々な理由で動く性質があり、深刻な失業が発生しても、賃金調整が行われないことが多い(賃金の下方硬直性)」と指摘している。
野口旭、田中秀臣は「高コストの問題は名目賃金ではなく『実質賃金』の上昇であり、実質賃金が上昇すれば、企業は雇用を縮小させるしかない。つまり、完全雇用をマクロ経済的に実現させるためには、実質賃金を低下させるしかない。そのためには、名目賃金を低下させるか、物価水準を上昇させるかのどちらかが必要となる」と指摘している。
ジョン・メイナード・ケインズは、労働組合の圧力によって賃金が引き下がらない性質に着目し、「非自発的失業」の存在を指摘した。ケインズの論理では、名目賃金の低下は消費者の購買力を低下させ、更に物価下落による実質賃金の低下を抑制するため、雇用を増加させないとしており、購買力の低下は国民所得の低下を生じさせ、有効需要の低下、雇用の減少を招くとしている。ケインズの論理では、名目賃金の低下は雇用を増加させず、失業を減少させないとしている。ケインズは「需要さえあれば、普通は現行貨幣賃金の下でも雇用量は増える」と指摘している。
田中秀臣は「名目賃金の下方硬直性の緩みこそ、人員整理・解雇の増加、成果主義という建前の賃金の引き下げなど、日本の雇用環境の荒廃を示すものである」「不況期における名目賃金の下方硬直性を損ねることが、長期的な労働者のモラル・信頼性・チームワークの精神などを破壊してしまうことは、日本やアメリカで知られている」と指摘している。田中は「名目賃金を切り下げない政策が重要となる。企業の賃金は実質賃金ではかられるため、名目賃金を切り下げないで実質賃金をいかに低下させるかを考える必要がある。名目賃金を下げないとなると、残された手段は物価を上げることしかない」と指摘している。田中は「企業が雇用を増やすためには、実質賃金の下落が必要である。つまり、物価が上昇すれば雇用が増え、名目所得が増える」と指摘している。
野口旭、田中秀臣は「物価が穏やかに2-3%ほど上昇すれば、経営側の賃金コスト削減努力はかなり緩和される」と指摘している。
岩田は「労働者は、賃金の引き下げには強く抵抗するが、賃金を引き上げる場合には、賃金の上昇率がインフレ率より低くても強く抵抗しない。そのため、2-3%程度のインフレ下で、賃金上昇率をインフレ率よりも低い1%程度に抑えれば、実質的な人件費負担が軽減でき、雇用の維持・拡大ができる」と指摘している。
「雇用の流動化」とは、離職・転職のしやすさを示し、人的資源の効率的使用を意味する。
経済学では、解雇規制と失業率に関する統計調査があり、その多くが社員を自由に解雇できるようにしたほうが、失業率が下がるという結果となっている。池田信夫は「解雇しやすいほうが雇用は増える。解雇が自由なアメリカの失業率が手厚く保護しているヨーロッパの失業率よりも低いことで実証されている」と指摘している。池田は「規制強化は、『ワーキングプア』を仕事のない『プア』にしてしまう。非正社員が失業すると、失業率は上がる」と指摘している。
飯田泰之は「正社員の好待遇・解雇規制を変えないと底辺から首切りが起こる。労組系はそれでも拒絶する」「正社員の表面上の待遇を下げないで人件費を下げるために、非正規雇用が増えた」と指摘している。また飯田は「不況下で雇用の流動化政策をやると、首切りだけをしやすくする状況となる」と指摘している。
田中秀臣は「日本では、技能・専門性が高い人たちの雇用の流動性が促されるのではなく、立場の弱い人たちを企業の都合でリストラしやすくするために、雇用の流動化が利用されている」と指摘している。田中は「産業構造が高い生産性をもつものに転換できたとしても、需要が不足したままでは、失業を悪化させるだけである」「経済全体の労働需要が減退しているときに、雇用の流動化を促すことは、縮小するパイの奪い合いをさせる行為に等しい。人を失業の谷底に落としてから、自分を変えろ、失敗は自己責任だと言い放つのは問われるべき社会的罪悪である」と指摘している。また田中は「日本で派遣労働を全面禁止してしまうと、派遣で働けた労働者の仕事を奪うことになりかねない。派遣の仕組みを残し、待遇改善をはかったほうがよい」と指摘している。
岩田規久男は「労働者派遣の規制緩和が進んでいなかった場合、むしろ派遣で働く道を閉ざされ、失業者は増加したはずである。失業者が増加すれば格差は拡大する」と指摘している。
大竹文雄は「仮に失業を防ぐために解雇を抑制しても、新規採用が減る。若者の失業率が高くなることによる潜在的なコストは大きい」と指摘している。
森永卓郎は「必要なときに必要なだけ雇うのがアメリカ企業の基本原則である。アメリカは中途採用の市場が整っているので、中高年の解雇がやりやすいという違いがある」と指摘している。
日本の労働市場では、正社員を非正社員より優遇する雇用慣行を支えている判例がある(整理解雇の判例)。この判例では、会社が倒産の危機に直面し整理解雇が必要な場合でも、1)解雇の必要性、2)解雇回避の努力などの要件を満たしていなければ、正社員を解雇することができない。解雇回避の努力には正社員の解雇の前に、新規採用の抑制・非正社員の雇用契約更新の停止が含まれている。つまり、裁判所が正社員を解雇する前に、非正社員の雇い止め(派遣切り)を求めている。
田中秀臣は「日本は景気が悪くなってもなかなかリストラしない。人員配置とかよその会社に出向させるなどの手法をとっている。だから非正規雇用の人たちのリストラで調整する。ここ20年くらいで、20代後半-30代後半くらいの若い人たちがかなり増えてきた。この人たちを大きく含む現在(2010年)の非正規雇用者に対して大規模なリストラが生じてしまうと、直接生活を脅かすことになるため、それが若い世代の逼迫感にも繋がってる。アメリカやイギリスに比べて、日本の若い世代の生活価値がより低下している」と指摘している。
「正社員の賃金を下げ解雇しやすくすれば、正社員と派遣社員の垣根が低くなり、派遣社員が雇用される機会が増える」という議論について、田中は「単なる椅子取りゲームであり、正社員の賃金の低下だけで終われば、さらに景気を悪化させる可能性がある」と指摘している。田中は「企業の業績が悪化する不況期に解雇法制の規制を緩めれば、リストラしやすくなり、失業率を増加させてしまう」と指摘している。
飯田泰之は「日本は守らなくてもよい法律が多い。解雇規制は事実上大企業だけのものであり、中小・零細企業は気にしていない」と指摘している。
原田泰、大和総研は「政府に求められることは、不況期に賃上げ・雇用維持を企業に迫ることではなく、政府自体がセーフティーネットを行うことである」と指摘している。
岩田規久男は「失業し場合のセーフティーネットとして、雇用保険の加入資格拡大と公的家賃補助が有効である」と指摘している。
ドイツでは家賃補助制度などがあり、失業で突然ホームレスになることはない。
経済学者のロバート・H・フランクは「失業した場合、アメリカとドイツでは状況が大きく異なる。アメリカでは失業者が生計を立てていくのは困難であるが、ドイツでは失業者は政府から援助を受けられるため、基本的な生活を無期限に維持することができる。失業して発生する機会費用はアメリカよりもドイツのほうが少ない」と指摘している。
大竹文雄は「典型的な失業リスクに備える公的政策は、失業保険制度である。完全な失業保険があれば、人々が失業しても消費水準を下げなくてすむ。失業保険の最大の問題は、就職をする気も無い人が失業したと偽り失業保険をもらったり、真剣に職探しをしないことである。多くの国では、不真面目な失業保険需給者を排除するために、失業給付の水準を低くしたり、失業給付期間を短縮したりしている」と指摘している。
大竹は、失業給付条件の緩和・給付期間の延長は、失業者のモラル・ハザードを生みやすいと指摘している。
みずほ総合研究所は「欧州の例では、雇用保険を手厚くするとその分失業者の失業期間が長期化している。失業者が雇用機会を取得する努力を怠り、モラルハザードを引き起こす。失業給付が充実していれば失業状態を続けようとする意思が働いてしまう。失業保険を安易に拡大することは避けなければならない。欧州では、失業保険拡充の失敗を教訓に、雇用政策の重点を失業保険から教育訓練・職業紹介へ移行させている」と指摘している。
伊藤元重は「構造調整によって失業が発生した場合、構造調整に対応する形で地域的な対策、衰退産業から成長産業へ労働者が移動できるような技能取得の支援・職業の斡旋が必要となる」と指摘している。
大竹文雄は「失業が増えている分野ではなく、私たちの生活を豊かにする分野での技能訓練は有効である。具体的には、生産性を高めないが生活環境を改善する投資・公的サービスの分野である」と指摘している。
岩田規久男は「セーフティー・ネットと称して、失業者を適材適所ではない公的部門で雇用したり、役に立ちそうにない教育・訓練投資に税金を投入しても大きな無駄である」と指摘している。
森永卓郎は「職業訓練制度は必ずしも再就職の役には立たない。ホワイトカラーの場合、失業してから受ける短期間の職業訓練はほとんど意味を成さない。ただし、低賃金労働者にとっては、ワープロ・パソコンのエクセルが使えるというのは職業能力になりえる」と指摘している。
野口旭、田中秀臣は「日本の資格制度の大半は、労働者の技能を上昇させようとする意図に基づいたものではなく一種の『記号』であり、資格制度を維持することによって得られる便益のためだけに存在している」と指摘している。
田中秀臣は「深刻な失業下では、技術があっても働き口がないという状況が当たり前となる。職業訓練など人的資本の質を高める政策は、副次的な効果しかない」と指摘している。野口旭、田中秀臣は「『低生産性』産業から追い出された労働者に教育・訓練を行い、別の産業に押し込むことができたとしても、総需要が拡大しない限り、そのことによって誰かが失業するしかないのである」と指摘している。
飯田泰之は「国が直接的に職業訓練を供給するというのは、硬直的なシステムになりがちである。ガイドラインだけをつくって、民間に任せたほうがよい」と指摘している。
経済学者のダニエル・ハマーメッシュは、失業率が高くなると長期的に所得が低くなる人が多くなり、満足な生活を得られないと考えて自殺を選ぶ人が増えてくると指摘している。
中野剛志は「失業の増大は、自殺者を増やし社会を不安定化させるが、それは単に経済的に困窮するだけではなく、人間としての尊厳を破壊する。経済的な困窮だけなら役所が失業手当を支給するだけで解決する。解雇による疎外感・孤独感は、お金では解決できない」と指摘している。
澤田康幸、上田路子、松林哲也は、多くの実証研究を示した上で、経済と自殺の関係を明らかにしている。日本の場合、失業率と自殺の相関関係が他のOECD諸国に比べて大きく、男性の就業年齢層(35-64歳)では、特に失業率が自殺率を高めている、としている。また、40-50歳代男性の職業別自殺率を見ると、無業者・無業者の内の失業者において特に高くなっているとしている。国際データ・県別データでの分析によっても、失業率・個人の自己破産率が、男性(特に40-59歳)の自殺率の上昇をもたらしているとしている。
自殺予防総合対策センター室長の川野建治は「日本全国で見た場合、完全失業率と自殺率は見事に相関しているが、都道府県別にすると大分ばらつきがある。失業という自殺の危険因子に対して、福祉・周囲のサポートなどの保護因子が、地方によってまちまちだということを示している。失業率と自殺率は、例えばスウェーデンの場合、全国レベルで対応していない。失業率が上がっても自殺率は下がっていたりする。つまり、失業しても死ぬほど追い込まれることはない社会システムがあると考えられる」と指摘している。
大竹文雄は「スウェーデンは失業給付が高い上に、失業対策として職業紹介・職業訓練・公的部門での直接雇用といった積極的な雇用政策を行っている。このことは、失業率と自殺率の関係が、雇用対策のあり方によって変わってくることを示唆している」と指摘している。
経済学者の浜田宏一は「原油安という外生変数の変化は、雇用によい影響をもたらす」と指摘している。
戦前は国の「無職はお国の寄生虫」のようなスローガンに見るように、無職に対する風当たりはきつかった。大竹文雄は「高度経済成長期の完全雇用の時代は、無職で貧しいというのは、真面目に働かない場合のみ発生するという状態であった。真面目に働いても貧困に陥るという認識が日本人には無かったのであろう」と指摘している。
飯田泰之は「現在(2010年)の日本の失業率の増大の大きな原因は、デフレによる実質賃金の上昇にある。つまり、日本で増加している失業者は非自発的失業者である」と指摘している。
池田信夫は「現在(2009年)の失業保険・生活保護は、セーフティー・ネットとして不十分であり、重要なのは所得の再分配ではなく、転職機会の拡大である」と指摘している。
山崎元は「現在(1999年3月)の不況は非常に良いことである。企業倒産は必要であり、それによって失業率が高くなることをもっと肯定的に捉えなければならない。高失業率と共存できる社会にならなければならないのであり、労働者が無駄なところからそうではないところに移るためには、マクロ的なある程度の失業率が必要である」と指摘している。山崎は「民間の能率がよいところに労働者が早く移るという意味では、余計なことはする必要は無い」と指摘している。
竹中平蔵は「日本の失業については、中長期的に見ればさほど悲観的になる必要はない。理由は、人口が減っていくからである。人口が減っていく社会は、長期的に失業が深刻になる社会ではない。短期的には、職業訓練・教育を通じて、需給のミスマッチを解消させる必要がある」と指摘している。
大竹文雄は「現在(2005年)の日本状況では、一度失業するとなかなか賃金の高い仕事に就けない。若年層の失業率の上昇は、生涯所得格差の拡大に直結する」と指摘している。
UFJ総合研究所調査部は「日本の若年失業の増加は、フリーターの増加とあいまって貯蓄水準を低下させている」と指摘している。
経済学者の八代尚宏は「経済成長をしなければ新規雇用は生まれない。今雇われている人々は、経済成長をしなくてもよいかもしれないが、一番の被害者は若年層である。日本より成熟したアメリカは成長している。日本にも成長できる余地はいくらでもあり、それをしないのは、『人災』である」と指摘している。
エコノミストの伊藤洋一は「世界の中央銀行の中には『物価の安定』と同じくらい『雇用の維持』を使命としているところが多い」と指摘している。アメリカのFRBには法律上、物価の安定と雇用の維持が求められている。
高橋洋一は、「日本の雇用への取り組み方には疑問を持たざるを得ない。厚生労働省が雇用の所管官庁になっているのは経済学的には問題である。厚生労働省設置法第4条第59号『失業対策その他雇用機会の確保に関すること』と定められているので法的にはいいとしても、マクロ経済を所掌していない厚労省に真の意味での失業対策はできない。構造的失業率を低くするのはもちろん重要であるがその実行は難しい。失業率には構造的な部分と需要不足部分があるが、厚労省では後者の需要不足に対して何ら有効な手を打てない。アメリカでは雇用の最大化はFRB(連邦準備制度)の責務で、需要不足部分に対する失業率を下げることは中央銀行の責任である」と指摘している。高橋は「インフレ率が上がると失業率が下がるという関係性は明らかだが、日本では失業率を日本銀行ではなく厚生労働省が扱っているというところに大きな問題がある。失業率を出来るだけ少なく見せたい厚生労働省は、雇用調整助成金をばら撒いている。助成金をなくせば現在(2012年)の日本の失業率はアメリカと同じ7%台であり、こんなことは到底まともな政策とはいえない」と指摘している。高橋は「ミスマッチを減らすという点で厚労省の施策に意味はあるが、失業率の水準を大きく増減させるほどのものではない」と指摘している。
原田泰は「日銀は、物価の安定に制約がない限り、雇用の安定も実現させるべきである」と指摘している。
野口旭、田中秀臣は「『労働需要のミスマッチによる構造的失業』とされるものも、実際には需要不足失業の一種であり、総需要の拡大によって労働需要が改善すれば『ミスマッチ』も解消する」と指摘している。
HMG(英国政府)柏野健三訳『新福祉契約 英国の野心』帝塚山大学出版会、2008年。

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